27、すみません
怖い話をしたいわけではないんですが。
こういう枕詞をどう思いますか。
期待しますか、それとも警戒しますか。
期待する人は、おそらくがっかりすることになるでしょう。
たとえこの後する話が怖かろうと、そうでなかろうと、数日のうちにそれは自分には何も関係のないことであることを実感し、怖い目に遭うことなどなかったと、寂しさを覚えるでしょう。
呪ってあげられなくてすみません。
警戒する人は、きっと嫌な思いをするでしょう。
だって怖い話など聞きたくないのだから。それなのに、したいわけではないんですが、という私に対して大変不快な思いをするでしょう。
そしてふとした時に生じた、理不尽な暴力を振られたようなやるせなさと怒りは、どこにもぶつかることなくカチカチ音を鳴らすでしょう。
救ってあげられなくてすみません。
私は液晶の及ばぬ黒い隙間からあなたを見ます。あるいは働いてない内蔵カメラ。身に覚えのない表示マークが私の目です。
私は見てるだけで、怖い話をしたいわけでも、見たいわけでも、聞きたいわけでもないのです。
だから、わざとではないのです。
だから、私のせいでなくてすみません。
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