41、練習

 旅をする準備、をするとして。何から取り掛かる人が多いのだろう。

 私はまずコンタクトレンズを準備する。それから、メガネ。

 とても誇れる視力を持たない私は、これら二つがないと様々なことをかなり苦労することになる。

 遠くを見れず、挙句乱れているため。夜道はエレクトリカルパレードさながらに煌めいて、足取りをアルコールなしに酩酊させる。

 悪くなったものは仕方ないとして、今のうちに他の感覚を研ぎ澄ます練習をするべきだろうか。

 例えば足の裏の感覚、匂い、音。それらに力を託せば、眩く明滅する夜道を歩くことを手伝ってもらえるだろう。

 けれど、やはりそれには練習が必要で、練習というものが、絶対的に好きでないので、やはり必要に迫られない限りやりたくない。

 必要に迫られた時は遅いのだ。

 誰かが言った悲しい正論の声を、できる限り無視して過ごしていけるならば。


 

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