42、プロ
物語を読んでいる時、「彼らは小難しいことばかり考えているな」とふと登場人物に偉そうになってしまうことがある。
呑気に本を開いている側として、もうちょっと肩の力抜いたらいいのに、と殿様のように太々しい態度をとる。そんな失礼を働けるのも、読者の特権だ。
彼らは私の代わりに色々と難しいことを考えてくれる。勇気のいる行動を取ってくれる。そしてそれらに敬意を払わなくても許される。
そういった傲慢を感じて、本を閉じて、スマホを意味なく見つめているときに、私こそ小難しいことを考えようとしているおかしみが空中に霧散する。
ちょっとそういうことを考えても、私の場合は連続性がない。けれど、文字の中の彼らは続く。前に綴られた文字のことを常に考えて次へ生きなければならない。
登場人物のプロだ。
だから彼らは時として、本の冒頭で軽く紹介される資格を得ているのだ。
読まれる人生のプロ、その流儀とは。
無粋極まるテーマだが、幸い答えられる人は現実にいない。
──おそらく、多分?
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