29、カツオ

 カツオが安くなっていたので買いました。

 半分は、醤油とみりん、鷹の爪とニンニク、胡麻を和えたタレに漬け込んで冷蔵庫へ。(白ごはんに乗せて食べれば泣くほど美味)

 残りの半分は、以前高知出身の方におすすめされた食べ方をしてみました。

 すりおろしニンニクと、粗塩でいただくのです。

 赤身特有の、鉄の旨みにニンニクと粗塩のしょっぱさがジュワッと染みて、夏の暑さにぴったりのご馳走となりました。

 カツオはなんとなく、私の中で魚とも少し違う、独自のジャンルとして確立されています。

 魚を食べたい時、カツオは選択肢に入らないのです。カツオは「カツオが食べたい」時にだけ登場するのです。

 これは、私の中での魚のレパートリーがそう多くないからなのでしょう。

 きっと、他の魚とカツオの架け橋になる魚を知っていれば、カツオはちゃんと魚として正しくカテゴライズされていただろうに──

 などと想像しているうちにあっという間に食べ終えてしまって、タレに漬け込んだ方のカツオにまで手を伸ばしたくなる衝動に駆られます。

 けれど、もっとタレが染み込んだほうが、抜群に美味しいことを知っているので、ぐっと堪えることに成功しました。

 食欲には食欲をぶつけるのです。


 ちなみに、お好みでタレに卵黄をくわえると、より濃厚になってまた違った味わいになるので、カツオが手に入った暁には是非試してみてください。


 

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