【果たしていつ】お題に沿って一日一エッセイ【挫けるか】

１０、散歩

　犬の散歩は、一日二回。早朝と、夕方。

　五時に起きて、犬にご飯と水をあげて、半になる前に出発する。六時だと、今時分暑すぎてしまうから仕方ない。

　起きるのはなかなかに大変だけど、起きて仕舞えばそう悪くない。朝方は、日中には考えられないほど日陰が涼しい。日向で汗ばんだ首に風がかかると、もう遠い昔のような初夏を思い出す。

　日中ずっと籠っていると、夜一人で散歩にも行きたくなるもので。夕方の犬の散歩を済ませて、ご飯をたくさん食べた日なんかは、少し遠くのコンビニまで腹ごなしに歩いてアイスコーヒーを買いに行く。

　朝とは違って、夜は温められて舞い上がった空気が、少しずつ落ちてくるような、何とも重たい暑さがあるけれど。日差しに俯く必要がないだけ、だいぶマシ。

　商店街の果てまで歩いていけば、二十四時間やっているラーメン屋さんが一軒。いつも晩御飯を食べた後だから、一度も入店したことはないけれど、何とも美味しそうで、昼に来てみようといつも思うのに、いつも忘れてしまう。

　そうして横断歩道を渡ったところにある、ファミマのアイスコーヒーを買う。ファミマはコンビニコーヒーの中で一番美味しいらしい。誰かが言っていた。セブンが一番だと誰かも言っていた。私には違いがわからない。

　わかるのは、酸っぱいか苦いか、両方かだけ。

　でもこの蒸し暑い暗がりで、氷をガシャガシャさせながら飲むコーヒーは楽しくて、クセになるので、この変わり映えのない夜の散歩がやめられない。