23、キャベツ

 雨の日、窓を開けるかどうかのせめぎ合いが起きる。

 開ければ涼しい、けれど雨が入り込んでしまう。

 そういうメリットデメリットを推し量るために降雨を見守る。

 どこもかしこも白いせいで、眩しくて仕方のない外は水滴ですら発光させるから本当に困る。

 眩しいのは苦手だ。大体の生き物と同じく。

 風が出てきたので、私は諦めて窓を閉める。

 エアコンは除湿。

 部屋が乾いていく間に、とりあえずキャベツを粉々にしていく。

 今日はお好み焼きが食べたくて、けれどお好み焼き粉を買うのを忘れて、雨の中スーパーに行く勇気が出ずに、小麦粉と卵と出汁のもとと水と砕いたキャベツを混ぜ和える。

 こういうのは、キャベツ焼きというのだろうか。

 それともお好み焼きでいいのだろうか。厳密な違いはわからない。

 とりあえず、キャベツが美味しかった。

 キャベツが美味しいタイミングだったのだ。

 雨の日はそういうことが多い。もしくは春先だったり、寒さに飽き始める冬の終わり頃だったりする。

 サタタタタタ、と雨がベランダを叩く音がする。

 まもなく、五度目のゲリラ豪雨がやってくる。


 

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