第23話

 字見さんは愛羅さんのサキュバスコスに腕を通す。


「あたしのサイズに合うやつ選んだから、キツイかもよ?」


 心配そうに言っていたけど、字見さんはまるでそんなこと気にしてないようだ。


「大丈夫、胸元のヒモを少し緩めれば、わたしのでも収まる」


 な、なんだと?胸元のヒモを緩めるって、それ大丈夫か?逆に破壊力が増すだけじゃないか?


 着替えが終わるまで待ってると、愛羅さんの声が部屋の中から聞こえてくる。


「ここなっち、その服ヤバいって。悩殺ファッションだって」


「これを着れば悠斗くんだって釘付けになるはず」


 えっ、そんなに自信あるのか?

 いや、俺はもう既に釘付けになる準備はできてるけど……。


「悠斗くん、入っても大丈夫だよ」


 その一言に、心臓が再び一気に高鳴る。

 いよいよ対面か。これ、冷静にいられるかな?


 ドアを開けると、そこには見事なたわわを披露している字見さんが立っていた。

 目の前の光景があまりにも衝撃的で、思考が一瞬止まってしまう。


 誰だよ、こんなたわわな持ち主に「地味子」ってあだ名を付けたやつは!

 地味の「じ」の字も感じさせないじゃないか!


「悠斗くん、かわいい?」


 なにこれ……。その上目遣い反則でしょ。

 そんな格好で聞かれたら、俺どうすればいいんだよ……。


「ちょー可愛い!!」


 いや、可愛いどころじゃないだろ、これはもう犯罪だ。


「悠斗くんはこっちのほうが好きだよね?」


「はい、大好きです!!」


「大好き…いい響き、もう一回言って」


「ちょー大好き!!」


「うわー悠斗の顔、真っ赤じゃん!」


 いや、そりゃあそうなるよ。男なら誰だってこうなるよ。

 こんな状況、冷静にいられる方がおかしいって……。


 どこに視線を移しても安全地帯が存在しない。俺は理性を保つのに必死だ。


「もうそろそろいいんじゃないか?十分楽しんだだろ?」


「いや、まだまだだって、全部着て鑑賞会しないと」


 まだ続くのかよ!でも、正直なところ、これ以上耐えられるか自信がない……。

 そのあと、次々と色々なコスプレをして楽しみ始めた。


「ここなっち、そのコスいいね。下からのアングルも撮るね」


 愛羅さんがスマホを構えて撮影し始める。

 その姿がどう見ても盗撮している変態にしか見えないのは気のせいか?


「スカートの中ってこんなふうに見えるんだ」


「その角度パンツ見えてないよね…?」


 字見さんがスカートを押さえようとすると


「わたしが男じゃなくてよかったよ。てかここなっちのその表情イイね。もう一枚撮りまーす」


「愛羅ちゃんがどんどん変態になっていく…」


「これは悠斗には見せれないわ。秘蔵の写真として保管しなきゃ」


 見せれないって言われると、逆に見たくなるのが男の性なんだけど……。


「重々承知しています」


 俺は即座に答えるが、内心ではその角度からのショットが気になって仕方ない。


「ここなっち、何でも似合うね」


 愛羅さんの言葉に、俺も心の中で同意せざるを得ない。

 確かに、字見さんは何を着ても可愛く見えるんだよな……。


「愛羅ちゃんも一緒に着ようよ」


「えーあたしは十分かな」


「いいからいいから」


 そして、2人で着せあいっこが始まった。


「あたしが着ると、キャラにあってない感じもするけど……。でも、悪くないかも?」


 愛羅さんは新しいコスに身を包み、鏡の前で自分の姿を確認している。

 その光景を見て、俺は何度も心の中で叫ぶ。


 これは、現実なのか?夢じゃないよな?

 目の前にいる2人が好きなキャラの格好やセクシーな衣装を着てるなんて、普通じゃあり得ないだろ……。


「愛羅ちゃんコスプレイヤーになれるんじゃない?」


 字見さんが感心したように言う。


 確かに、愛羅さんのスタイルなら、コスプレイヤーとしても成功しそうだ。

 それを目の前で独り占めできる俺って、いったい前世でどれだけ徳を積んだんだ?


「いや、あたしのキャラじゃないって、それならここなっちのほうだよ」


 字見さんの純粋で可憐なイメージが、そのままキャラに反映されてる感じがする。

 でも、愛羅さんのギャル×コスプレの意外性も捨てがたい…


「悠斗くん、写真撮ってもらえる?」


 え、俺が?2人のコスプレ姿を写真に収める役目ってことか……。これ、絶対に失敗できないやつだな。


 カメラを手に取り、2人の姿をフレームに収める。

 映るものすべてが美しい。こんな機会、一生に一度あるかないかだろう……。


「はい、ポーズ!」と俺は指示を出しながら、シャッターを切る。


 カメラ越しに見る2人は、まるで本物のキャラクターがこの世界に飛び出してきたかのような錯覚を覚える。

 衣装もポーズも完璧で、まさに二次元が現実になった瞬間だ。


「すごい……」思わず呟いてしまう。2人の可愛さに言葉を失う。


「ど、どうかな?」字見さんが少し不安げに俺を見つめてくる。


「最高だよ。これ以上のものはないってくらい、完璧」


 俺は正直な気持ちを伝える。これ以上のものなんて、絶対にあり得ない。


「本当に?」字見さんの表情が少しほころぶ。


「もちろんだよ。これ、みんなに見せたくなるくらい自慢できるよ」


「それは恥ずかしいかな」


「うちも恥ずかしいかも」


 このあとも着せあいっこは続き、やっと一通り着り終わる。

 衣装の片づけをしていると


「ねえ、あんたここなっちなら分かるけど、あたしのこともエロい目で見てたでしょ」


「し、しかたないだろ。不可抗力だ」


「あたしのこともそんな風に見てるんだ。ふーん」


「なんだよ」


「別に…むっつりスケベなんだなあ、と思っただけ」


 スケベというか、誰だってこの空間にいたらスケベ心が働くだろ。


「あと、レンタル料金高かったから、晩飯だけでいいから奢ってちょうだい」


 ウインクしながら、お願いしてくる。

 今日これだけ、男の願望を叶えてもらったしいいか。


 ―――


 初めて5万字を超える小説かけて達成感が凄いです!!10万字も頑張って書ききります!!

 最後までお読みいただきありがとうございます!最新話から出来る作品の★評価、感想などをいただけますと、モチベが上がるのでよろしくお願いします!

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