第18話
俺は今日、生まれて初めて女子のパンツを見た。
しかも黒の大人の雰囲気なやつ。正直えろすぎて脳内がパンツに支配されかけてる。
でも、事故?で見てしまったものだし、字見さんが帰ってきたらしっかり謝らないと。
それにしても、スカートを短くしてきた日に限ってなんであんなに、パタパタと揺らすんだ?
「実は字見さんは露出狂なのか!?」
「わたしは露出狂じゃありません!!」
俺の名推理に反対するかのように力強い声が聞こえる。
振り返ると字見さんが立っていた。
脳内をパンツに支配されていた俺は、反射的にスカートに目線どころか顔が向いてしまう。
「あっ!いま見ようとしたでしょ」
「いや、いまのは男の性というかなんというか…すみません!!」
下手に言い訳をしても事態を悪化させるだけだから、頭を下げてとにかく謝まる。
スカートがいつもの長さに戻っていたので、教室中からため息が聞こえたような気がする。
この謝罪は、字見さんにもクラスの男子のためでもある。
「反省しているならいいよ」
「はい、猛烈に反省しています」
「あんまり見ようとしないでね…恥ずかしいから…」
「もちろん!2度としないって誓います!」
俺は字見さんの言葉に真剣に頷いた。2度と見ないと誓ったけど、心の中ではあの瞬間が頭から離れないのが正直なところだ。
それでも、これ以上彼女に迷惑をかけるわけにはいかない。
「そんな誓うほどじゃないよ。ただ、その、わたしが気づいてないときなら…見てもいいよ」
「えっ?」
俺は耳を疑った。字見さんが今、なんて言った?見てもいいって…?
「じょ、冗談だよね?」
動揺しながら聞き返すと、字見さんは少し頬を赤らめながら視線をそらした。
「…冗談だよ。でも…悠斗くんには、見られてもいいかなって…思ったりして」
その言葉に、俺の心臓は一気に跳ね上がった。
冗談のはずなのに、彼女の照れた表情が本気を含んでいるように見える。
「ほら、毎日欠かさずゲームにログインしてるし、ギルドマスターからの報酬として特別にね」
俺は何か試されているのか?実はドッキリなのでは?
俺が知っている字見さんは、ゲーム好きでおとなしめな性格で恥ずかしがり屋。
昨日と今日の間に字見さんに何があった?
こんなにも大胆なことを言うなんて信じられなかった。
「で、でも、それって…本当に良いの?」
俺はまだ半信半疑で、彼女の真意を確かめたくて聞き返す。
「…うん。でも、やっぱりダメかも…ごめんね、変なこと言っちゃって」
字見さんは急に恥ずかしそうに顔を隠しながら謝り始めた。その姿を見て、俺は慌てて否定した。
「いやいや!全然変じゃないよ!!」
なんか俺がパンツ見たくて必死に否定しているように見える。
「今日のことは誰にも言わないでね。見えちゃったことや、その…色とか」
「もちろん、絶対に誰にも言わないよ」
「…ありがと」
字見さんはホッとした表情を浮かべる。
俺だけの秘密ということだ、字見さんのパンツは墓場まで持っていこう、心からそう誓う。
―――
昼休みになり、俺は屋上で昼食をとっていた。
なぜ、屋上かと言うと字見さんの顔を見ると朝のことを思い出してしまうから。
ここで心に平穏を宿らせています。しかしその平穏あっという間に終わる。
「あっ、やっぱり屋上にいた」
まさかと思い、振り返ると字見さんがいた。
俺の邪念を消すために、わざわざ1人で屋上で食べているのに…
「珍しいね、屋上にくるの」
「うん、悠斗くんに伝えたいことがあったから」
字見さんは大きく息を吸って口を開く。
「今朝はごめんなさい」
なんで俺が謝られているんだ?
どちらかと言うと、俺のほうが土下座するレベルで謝らないといけないけど。
「いやいや謝ることじゃないよ。むしろ俺が謝るべきだよ」
「そうじゃなくて、実は、わざとスカートを短くして悠斗くんの反応を見ようとしてました」
「?????」
俺は字見さんの言葉を一瞬理解できず、頭の中が「???」で埋め尽くされた。
「…わざと?」
字見さんは少し恥ずかしそうに頷いた。
「うん、ホントは見えるか見えないかのギリギリにするつもりで、パンツを見せるつもりはなかったんだけど…」
「え、じゃあ、今朝のあれは…全部計画の一部だったの?」
「そうだよ。悠斗くんにえっちって言ったけど、えっちじゃないよ。こんなことした、わたしのほうがえっちだよ」
字見さん…その言い方だと意味が変わるような…確かに字見さんはえっちだけど。
「全然気にしてないよ!むしろ見れてラッキーと思ってたぐらいだし」
「ラッキーと思ってもらえたなら、作戦は成功したのかな?」
「大成功だよ!!また見たいと思ったし」
やべ、ガッツリ本音が漏れてしまった。
さすがにこれは、変態だと思われたな。
「もう一回見たいの?」
「いや、これは冗談というか…」
「…いいよ」
「まじで!?」
「今日だけの特別だよ」
そう言うと、ゆっくりとスカートを捲る。
朝とは違い、スカートの長さが戻っているので、パンツまで到達するのに時間がかかる。
すごくじれったくて思わず、釘付けになってしまう。
字見さんは、捲れていくスカートと連動するように顔が赤くなっていく。
あらゆる感覚が研ぎ澄まされ、スカートが足に擦れる音まで聞こえ緊張が最大限まで高まる。
「もう一度聞くけど、ホントに見たい?」
「めっちゃ見たい!!」
確認を取ったあと、字見さんはバッとスカートを上げる。
そこに映し出されたのは、黒のパンツ……ではなく学校指定の短パンだった。
「あれ???」
ポカーンとして言葉が出てこない。
「実は、トイレ行ったときに短パンを履いて見えないようにしたんだ」
「……」
「期待してたでしょ?やっぱり悠斗くんはえっちです。そんなにわたしのパンツ見たかったの?」
俺が字見さんのパンツを見たがっていた変態と、判明したのにどこか字見さんは嬉しそうだった。
「そうなんだ、悠斗くんはわたしの見たかったんだ。ふーん」
ショックで崩れている俺とは対照的に、字見さんはニヤニヤが止まらずにいた。
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