第22話

「字見さんの家か、久しぶりに行くな」


「そういえば悠斗くんは、来たことあるよね」


 その一言に、横で聞いていた愛羅さんが不審な目で俺を見つめる。


「え?あんたらどういう関係なの?実は隠れて付き合ってる訳じゃないよね?」


「ち、ちがうよ!」と字見さんは即座に否定する。

 だがその後、少し顔を赤らめながら小声で「わたしが悠斗くんと友達以上の関係になりたいの、知ってるでしょ?」と愛羅に囁いた。


「だって小学生ならまだしも、高校生で女の子の家に行ったことがあるなんて、付き合ってる以外ないでしょ」


 愛羅さんは疑問をぶつける。


「ちゃんと経緯を教えるから」


 字見さんは少し慌てながらも、俺が彼女の家に来た経緯を説明し始めた。


「まじでw?胸が直撃して気絶したとか、アニメの世界かよ」


 と信じられない様子だった。


「それが現実に起きたんだよ」


 ほんと現実なんだよな。あのときは本当に信じられなかったけど。


「わたしもさっき見たけど、確かにあれでぶたれたら気絶してもおかしくないね」


 愛羅が字見さんの胸をまじまじと見ながら言う。


「あの時は本当に申し訳ないです」


 字見さんが真剣な顔で謝る。


「全然平気だよ。今では笑い話にできるし」


 と俺は言うが、内心では、あの出来事が実は密かな「ご褒美」だったと感触を思い出す。


 そんなやり取りをしながら、3人は字見さんの家に到着した。


「部屋狭くてごめんね」


 字見さんが少し申し訳なさそうに言いながら、自分の部屋に3人を案内する。


「へー、ここなっちの部屋、綺麗じゃん」


 愛羅さんが感心しながら部屋を見回す。


 あの時とは違う状況だ。

 今からここでコスプレした字見さんを見れると思うと、自然と緊張してくる。


「じゃあ早速やりますか!!」


 と愛羅さんが元気よく声を上げ、持ってきた衣装を広げた。


「じゃあ、今から着替えるから、悪いけど悠斗は廊下で待っててね」


 俺は愛羅さんによって、廊下に追い出され着替え終わるまで待つことに。

 この時間がじれったいなと思っていると、中から微かな声が漏れ聞こえてくる。


「ちょっと、胸触らないでよ」


「いいじゃん、女同士だし。あと、ちゃんと調整しないと」


 え、何その会話……?思わずごくりと唾を飲み込む。

 美女2人が戯れてる姿が頭に浮かんで、想像が膨らんでしまう。


「そうか今から、爆乳のルルハ(字見さん)に会えるのか…」


 そう思うと、期待と緊張で胸が高鳴る。


「悠斗ー、もう準備できたよ」


 その声にハッとし、一生記憶から消えないようにしっかりと目に焼き付けようと、意気込んでドアを開けた。


 ドアの向こうには、少しもじもじとした様子のルルハ(字見さん)がいた。


「どうかな?」


 字見さんがくるっとターンをして全体を見せる。


 すごい……まさにゲームのキャラクターそのものじゃないか。

 衣装が彼女の体のラインを強調していて、まるでフィギュアが動き出したみたいだった。


 俺は無言で親指を立て、その魅力に圧倒されて言葉が見つからない。

 そして、そっと「100点です」と口にする。その瞬間、字見さんの顔に満面の笑みが浮かぶ。


 目の前にルルハがいる!!と見とれているとすぐに、

「悠斗、こっちも見てみ」と愛羅の声が聞こえてきた。


 声の方向に顔を向けると、「じゃーん、あたしもコスプレしてみました!」と愛羅が自信満々にポーズを取っていた。


 その姿は、まるでサキュバスのような誘惑的な衣装に身を包んでいた。

 好きなキャラのコスプレ×かける字見さんという俺にドストライクなはずなのに、目の前の愛羅の姿にどうしても釘付けになってしまう。


 彼女の圧倒的な自信と、その見事なプロポーションが、視線を引きつけて離さない。

 やばい、どうしても目が離せない。字見さんもいいけど、愛羅さんも……やっぱりすごいな。


 その様子を見た字見さんは嫉妬心を燃やす。

 彼女は俺の前に立ち、強引にその視線を自分に戻させた。


「わたしのほうも、もっと見てほしいな」


 と、少し拗ねたような声で言う。


 もしかして字見さんが拗ねてる?

 いやでも、どうしても目が行っちゃうんだよな……。


「そ、そうだな」と俺は言うものの、どうしても愛羅さんの際立つ胸に視線が引き寄せられてしまう。

 字見さんの可愛らしさは認めつつも、愛羅さんのセクシーさに抗えない。こればかりは、どうしようもない本能だ。


「悠斗くんは、えっちなほうがいいんだね」


 字見さんが少し不満そうに言う。

 違うんだ、字見さんのことが嫌いなわけじゃないんだけど……。


「別にそういうわけじゃないど」と俺は慌てて弁明するが、その言葉は薄っぺらく響いてしまう。

 どうしても、愛羅さんの誘惑に抗えない自分がいることは、正直否定できない。


「待ってて」と字見さんが言い、突然俺を部屋の外に押し出した。


 あの空間に好きなキャラとスケベな美小女が2人もいる…

 こんな幸せなことがあっていいのか?今日が人生の頂点なのかもしれない…


 そう思っていると、再び部屋の中から声が微かに聞こえてくる。


「愛羅ちゃん、それ脱いで。わたしが着るから」


 えっ、まじで?


「大丈夫そ?結構露出すごいけど」


「全く平気だから」


 ほんとに平気なのかよ……。でも、字見さんがそう言うなら、これはこれで期待しちゃうだろ。


―――


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