第21話

 約束の日の週末。集合場所に着くと、すでに字見さんと愛羅さんが待っていた。


「悠斗が最後!ジュース奢りな」


 愛羅さんが楽しそうに言う。思わず「マジかよ」と心の中で呟いたが、彼女たちの私服姿に目が奪われて、それどころではなかった。

 普段は制服しか見ていない分、私服の彼女たちが新鮮で、愛羅さんも可愛いが特に字見さん可愛くてドキッとする。


 前も見たときあるけど、あの時とは違うから、より可愛さが際立っている。


「どう?字見ちゃん可愛いでしょ。初めて私服姿見たけど、可愛すぎてテンション上がるわ!」


「大げさだよ。神凪さんだって可愛いよ」


「俺からすれば、2人とも似合ってると思うよ」


 自然とそう言葉が出てきた。普段とは違う雰囲気に少し緊張しつつも、3人で楽しく話しながら、目的地であるコスプレ衣装のレンタルショップに向かった。


 さすがに買い揃えるのは難しいので、今回はレンタルにすることに決めた。店内に入ると、さまざまなコスプレ衣装が並んでいる。

 自分で着るわけではないのに、なんだかドキドキしてしまう。


「これとか似合うんじゃない?」


 愛羅さんが見つけた衣装を指差すが、字見さんはすぐに首を横に振った。


「これ、もう裸だよ…さすがに着れないよ」


 字見さんの裸…いけない妄想をしてしまいそうになる。

 俺だけが知っている、あの破壊力のあるおっぱいを。


 店内を見て回り、ついに目的のルルハの衣装を見つけた。


「おお、これだ!試しに着てみる?」


「いきなり店内で?誰かに見られたりしないかな?」


「借りたあとにサイズ合わなかったら困るっしょ」


 字見さんは少し戸惑った様子だったが、愛羅さんの後押しもあって試着することに決まった。

 俺はお楽しみってことで見ることはできないが、店内をうろうろしながら、頭の中で字見さんの姿を妄想していた。


 ―うん、これはヤバいな。


 妄想の中で、さまざまなコスプレ姿の字見さんを想像していると、刺激が強すぎて顔が熱くなる。

 現実ではなく妄想の中とはいえ、字見さんがコスプレしている姿は、破壊力抜群だった。


 色々手に取って、コスプレ姿をイメージするが今の俺ってかなりやばいやつでは?

 男1人で、女性ものコスプレ衣装を漁っているとか、控えめに言って変態だ。


 一方、試着室では、字見さんは愛羅さんに手伝ってもらいながらルルハの衣装に着替えていた。

 服を脱ぎ下着姿になると、愛羅さんが突然真剣な顔でとある場所を見つめる。


 視線の先は胸で、とっさに胸を両手で抑える。


「そのブラ、きつくないの?」


「ちょっときついけど、大丈夫だよ」


「いやいや、苦しいでしょ。ホッグ緩めな?」


 そう言って、愛羅さんはホッグに手を伸ばし、緩めてくれた。

 すると、ボンっとおっぱいがあらわになり、愛羅さんは思わず目を見張った。


「待って…おっぱいデカすぎでしょ…」


 あまりのサイズに驚愕する愛羅さん。

 彼女自身も決して小さい方ではないが、字見さんのそれはワンランク上だった。


 その胸の大きさを実感するために、下から支えるように持ち上げる。


「高校生でこのサイズは、規格外でしょ。わたしも大きいほうだけど、これはちょっと…負けた気分だわ。字見…いや、今日から恋夏様として呼ばせていただきます」


「急に改まらないで!違和感があるから」


 字見さんは困ったように言うが、愛羅さんは笑いながら言葉を続けた。


「じゃあ、ここなっちって呼ぶね」


「一気に態度が急変した!?」


 ギャル特有の距離の詰め方に戸惑うが、初めてあだ名で呼ばれて悪い気はしない。


「わたしも名前で呼んでいい?」


「全然いいよ。むしろそっちで呼んで」


「あ、愛羅ちゃん」


「な、なんかこんな可愛い子に0距離で言われると照れるわ」


「あと愛羅ちゃん、そろそろ胸から手を離してもいいんじゃない?」


「あっごめん、この弾力があまりに心地よくて」


 触るどころかナチュラルに、しっかり揉みつくしていた。


 愛羅さんのテンションに振り回されながらも、字見さんは試着を続けた。

 そして、ルルハの衣装を着終えると、愛羅さんが満足げに言った。


「おー、めっちゃ似合ってるよ!」


「わ、わたしだけだと恥ずかしいから、愛羅ちゃんにも着てほしいかも…」


「え、わたしも!?」


「大丈夫、わたしが似合うの探すから」


「ちょっとハードル高いかな。そもそもゲームとかアニメ分からないし」


「ダメ…かな?」


 そう言って上目づかいで見つめる。

 その破壊力に、一歩体がのけ反る。


「う、可愛さで訴えられたら、抗えない」


 字見さんの可愛さに、愛羅さんは抵抗できず、コスプレをすることを決意した。

 結局、2人でコスプレすることになり、店内でいくつかの衣装を試着することに。


「悠斗、お待たせ~」


 結構な時間がかかり、やっと試着が終わった2人が出てきた。

 ん?衣装多くね?小さなコミケでも開くつもりか?


「結構時間かかったな。てか、量多くね?何、パーティーでもするの?」


「いやー、ここなっちに着せたいやつをたくさん選んでたら、この通り多くなっちゃった」


 愛羅さんが笑いながら言うと、俺はますます興奮した。

 持っている衣装の中には、明らかに肌の露出が多いものもあり、妄想が止まらなくなる。


「コスプレパーティーはここなっちの家でやるからね!」


―――


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