第32話 プール2
外で遊んだ後、お腹がすいた俺たちはプールサイドに併設されているレストランに向かった。
イタリアンなお店で、パスタが有名なところだ。
優子はそこまでパスタとかの気分じゃないとごねたが、もし優子がこの店が嫌なら隣にあるラーメン屋さんに一人で行ってもらう事になる。
流石に優子も一人で食べるのはいやらしく、しぶしぶ俺たちについてくることになった。
多数決だから仕方がない。
結局優子はスバゲッティは嫌なので、せめてという事で、ドリアを頼んだ。
まあ、ドリアもそこまで気分ではないらしいが。
そして俺たちはパスタを堪能した。(優子はそこまでは美味しくないと言っていたが)
そして次に別のアトラクションに行った。そこは水の滑り台だ。数が多く、さらにウォータースライダーみたいに競合性がないため、比較的早く滑れる。
実際並んでいた人数は一〇人程度でそこまで多くなかった。
秋根と優子と並ぶこと三分、順番が来た。
「誰から先に滑る?」
「私から滑る」
そう元気よく言う優子。
「じゃあ、私次、遊星くんは最後ね」
「分かった」
そして、優子と秋根が次々に滑っていく。最後は俺だ、滑り台の入り口に座り、腕で、壁を後ろに押、体が流れていった。
ものすごいスピードだ。ウォータースライダーですらないのに爽快感を感じる。
だが、幸せな時間も続かないようで、あっという間に終着地点についた。
これで、こんなに満足感が出るのなら、わざわざ長蛇の列に並ぶくらいならこっちに行ったほうが良いな、と思った。
その後、全員満足したそうで、もう一度滑ることになった。普通に楽しかった。
そして俺たちは次に透明なプールに行くことにした。
透明なプールと言われても良くは分からないだろう。だが、そう言うものなのだ。
俺も最初意味が分からなかった。だが、行ってみるとすぐに意味が分かった。
まさしく、透明なプールだった。プールの水も他のプールン比べたら透明に近い感じがするし、壁も透明で、全方向がクリアに見える。
おかげで、浮いている気分はもちろん、特別な気持ちになる。
だが、泳いでいる最中に、秋根にちょんちょんっと、背中を叩かれ、思わず上に上がる。
「何をするんだ?」
「見てたのです」
「え?」
「あの人の顔」
「それは見てねえ」
そして、優子も「行くよ」と言って潜り始める。優子は泳ぎが上手い。あっという間に圧倒的なスピードで泳ぎ始める。このプールは円形になっているから今の優子の速度から考えると、すぐに合流できるだろう。
「じゃあ、一ついい?」
「何を?」
そして俺は今秋根と水中でイチャイチャをしている。ハグは難しいけれど、水中で腹パンしたりこちょこちょしたりだ。優子がいないからこそ堂々とこんなことが出来るのだろう。
秋根は俺がこちょこちょをすると思い切り楽しそうに笑った。家でも、こちょこちょをした方がいいのか?
そして、秋根のこちょこちょは全然効かなかった。
無反応でいると、秋根は不満そうだった。
仕方ないだろ。わざと笑うふりをするわけには行かないんだし。
「お兄ちゃん、まわざとャイチャしてる!!!」
そう、プールを一周して戻ってきた優子に言われた。
「勿論、だって優子がいるとイチャイチャしにくいもん」
「私、邪魔もの?」
「イチャイチャ方面は」
「じゃあ……私もイチャイチャする!!」
「は?」
俺が状況を整理する前に優子が思い切り抱き着いて、水の中に押し倒してきた。
ばっと、優子の手を振りお退き、水上に戻る。
「お前!!!!」
「秋根だけずるいよ」
「おい、お前、キャラが変わってないか?」
優子は、何と言うか、もう少し俺とそう言う意味での距離を取るタイプだったはずだが。
秋根と再会して何か変わったのだろうか。
うん、分からん。
そして、俺はとりあえずその場を離れた。
水を飲んでくるという名目で。
そして水を一杯飲む。美味しい。
そして戻ると、二人共男の人に絡まれていた。
肌黒の所謂陽キャと言われる人たちだった。
そうだった、秋根はモテるんだった。
優子も顔立ちはいいし、胸も巨乳というべきだ。
しかもまだ若い。
いや、そんなことはどうでもいい。二人共いやそうな顔をしている。早く助け出さないと。
「おい、何してるんだよ」
そう、陽キャたちに言い放つ。
「なにって、ナンパじゃん。邪魔すんなよ」
「その人たち、俺の彼女何だけど」
「二人共か?」
「ああ」
妹だと答えてもいいが、それだと、ならもらってもいいじゃんってなる可能性がある。
二股しているくそ男に思われるかもしれないが、別にそこのところは構わない。
「二股かよ」
「ああ」
もうやばいやつと思わせてやる。
「っち、めんどくせえ!」
陽キャは別のところに行った。
「ねえ、お兄ちゃん」
次に続くセリフは分かっている。
「何? 彼女って」
「そうよ。遊星くんって二股してたの?」
「いや、してねえ。あれは方便だ」
「妹でいいじゃん」
「いや、そう言うのも面倒くさくなるかなって。だって、優子が狙われるかもしれないじゃん。だって、その場合、フリーになるわけだし」
「それも……そうか。ありがとう」
「おう」
そして、最後にボールを投げ合う事にした。
三人で投げ合うのだ。
正直、楽しいこと間違いなしだが、俺はこのb二人よりも運動新駅が悪い。そこが心配なところだ。
「行くのです!」
そう言って秋根がボールを俺に投げてきた。普通のボールだ。軽く取って、優子に投げる。
「遊星くん、やるね」
「これくらい当たり前だ」
だってボールの勢いが弱かったし。
「じゃあ、えい!」
優子が俺に向かって投げてきた。鬼のような速さで。
「お前は俺を殺す気か」
「だって、秋根のボールは物足りないでしょ?」
「物足りないことないわ!!!」
優子に向かって思い切り投げる。
だが、あっさりと止められた。
「お兄ちゃん……」
「がっかりすんな。それが俺の実力だ」
「じゃあ、私に投げてみて」
「うん」
優子は思い切りボールを投げる。秋根に向けて。
「おふ」
ボールを何とか受け止める秋根。
「化け物かよ」
あれを受け止めるとは。
「てかさ、よく考えたら秋根って運動出来なかったよね」
「うん。でも筋トレ下から。今だったら結構いけるよ」
「へー」
そして、ビーチボール投げ合いが終わった。
優子に手加減なしの攻撃を何発も食らったというのは言うまでもなく、秋根にまで超高火力の攻撃をくらった。
マジで俺の味方はいないのか……
そして、俺たちはそのままお風呂に入ることとなった。
秋根と優子とはここでサヨナラだ。
お風呂に入りお風呂につかる。
疲れが癒される。
今日は楽しかったが、女子二人に振り回されて疲れた部分もあったからな。
色々大変だった。
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