第16話 開封

「さあ、遊星くん。一斉オープンしよう?」

「ああ」


 そうして、カバンの中の物を一斉オープンする。この確実に二キロはある荷物を。

 そうしてカバンの中から一つずつ取り出していく。しかし、やはりというべきか、ラノベがどんどんと出てくる。


「お前やっぱりどんだけ買っているんだよ」


 本を一つずつ上に重ねながら言う。量が多すぎて、積み重ねるのにも限度がある。


「遊星くんも読んでもいいよ」

「いや、それを一得tるんじゃねえよ」


 咎めているわけじゃなくて、ただ驚いでるだけだ。


「しかし不思議だよな。一昨日までラノベを拒否してたのに、今やこんなにラノベを読むなんて」

「そんなこと言わないでよ! 別にいでしょ」

「いいけどよ」


 そして本の数は三七冊だった。そりゃああんな値段にもなるわ。



 そして次に出てきたのはフィギュアだった。

 秋根が俺のために撮ったフィギュアだ。

 合計七個。これをネットで買おうと思ったら確実に一万円は超えるだろう。本当に秋根に頼んで本当に良かった。


 そんなんで荷物開封会は終わった。


「じゃあ!」


 その瞬間に秋根は言った。


「遊星くんのオタク部屋を作りに行こう!!!」


 と言い出した。


「お前それ覚えてたのかよ」

「覚えてるに決まってるじゃん。こんな楽しそうなイベントを!!」


 今となってはこの秋根の上機嫌も少し怨めかしい。正直殴りたくなってくる。

 いつもはかわいいと思っているが。今日はだめだ。

 そんなことを考えていると秋根が「いいじゃん、行こう!」と俺の手を握ってくる。


 全くこいつと言うやつは。


 そして俺の部屋に着くと、秋根は早速俺の部屋を物色し始めた。全く、俺の部屋なんてこの前見ただろ。そして秋根は俺の許可を取ることもなく、俺の本棚の上にフィギュアを並べていく。


「お前がオタ部屋を作るのかよ!!」

「え? 悪い?」

「いや、まあこだわりは別にないからいいけど」


 正直配置などは気にしないタイプだし、そもそも秋根がどう置くのか気になると声小田。


 秋根は早速かわいいフィギュアを乱雑においていく。しかも、その配置は絶妙で、確実に俺が置くよりも綺麗な配置だ。


「すごい奈お前。いい配置だな」

「でしょ。私が置いて正解だね」


 そう言って秋根は笑顔を見せる。


「さあ、早速ラノベを読もう……遊星くんの部屋で!」

「なんで俺の部屋なんだよ」


 前者はいい。後者はなんでだ!!


「だって、せっかく作ったんだったらその部屋で読みたいでしょ」

「まあ、それはそうだが」

「お願い。いいでしょ?」

「分かった」


 そして結局秋根と一緒に俺の部屋で読書をすることとなった。

 正直招くのは気まずいが……


 そして秋根は早速本を取りに自分の部屋へと向かった。さて、俺は俺で今日買った本を読むか。

 だが、二ページ程度呼んだところで、秋根が帰ってきた。秋根の手にはカバンがあり、秋根は早速そこから一二冊もの本を取り出した。


「多すぎるだろ」


 思わず突っ込む。一二冊……全部読み終わるのにどんなに早くても一二時間はかかるぞ。まさか徹夜で読むつもりか?

 そんなことを考えていると、


「大丈夫。読む可能性のあるやつを全部持ってきただけだから」


 そうあっけからんに言われた。どうやら、純粋な思いでこの案を思いついたらしい。王やら秋根にとって、持ってくるときの荷物の重さよりも、本の選択肢を増やすメリットの方が勝ったらしい。

 そして、俺たちは読み始める。

 俺が手に取ったのは恋愛ラブコメ、それも百合小説だ。一方アキねあg手に取ったのは、外れスキル系だ。昨日はラブコメだったのに、ジャンル違いのやつ読んで楽しめるのか?

 そう思ったが、それは言わないでおこう。


 だが、その様子を見ると、楽しめているようだ。


 だが、秋根は途中で読むのに飽きたのか、別の小説を取り出してくる。今度は追放ものだ。これで複数冊持ってきた意味が生まれたという訳か。



 そしてその頃。


「土曜日と日曜日、予定空いてるわね」


 一人の少女が、カレンダーを見てそう呟いた。


「最近会ってない物ね。あの人とは」

「おーい、優子。ご飯出来たぞ」

「今行くー!!」


 そう言って、リビングに向かう前に一言、


「サプライズで行ったら驚くだろうなー」


 そうハイテンションで走って、親の元へと向かう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る