第31話 プール

 そして三日後、俺たちはプールに出かけた。

 それもこれも優子が行きたいと言ったからだ。早速俺たちでプールに入りたいらしい。

 妹と彼女とのプール。正直楽しみな反面、少し心配な部分もある。

 優子×秋根のコンビで何かを仕掛けられる恐れがあるのだ。

 プールが楽しみなのは事実なので、そこは変わらないとこころなのだが。


 プールは家から電車で三駅行ったところにある。そのプールは広く、様々なプールがある、県一のプールだ・


「じゃあ、私達はこっちに行くね。水着姿を期待するのです。遊星くん」

「ああ、分かった」

「勿論私の水着もね、お兄ちゃん」


 そして俺たちは分かれた。まずは着替えだ。更衣室で着替え、プールの中に入る。すると、もうすでに二人はいた。勿論水着姿で。


「おい、何だよそれ」


 秋根の水着はそれはもうエロかった。秋根のことだからエロいだろうとは思っていたが、やはりエロい。過去のコスプレで、だいぶ慣れてはいるが、それでも、結構なエロさだ。

 秋根はそこまで巨乳ではないはずだが、水着によって胸が露わになっていることで、裸の時よりもエロを感じる。

 そして優子は前にも水着は見ている。それに妹に欲情なんてしたらそれこそ頭がおかしいことになるしな。


「感想は無いのですか?」

「ああ、エロいな」

「直球すぎるね」

「お前はそう言ってもらいたいんだろ」

「えへへ」


 それを見た優子。


「私には何かないの?」

「え?」

「私の水着には」


 何を言っているんだ、この妹は。なんてコメントしたらいいんだ? 下手なコメントなんてしたら変態扱いされるかもしれん。こいつ、少しだけメスガキっぽいところがあるんだよな。


 なんて言えば正解だ? 


「似合ってるよ」


 とりあえず、そう当たり障りのないことを言う。


「あ、ありがとう」


 なぜこいつはまんざらでもない顔をしてるんだ?

 だが、とりあえず、何と場が収まったみたいで良かった。


 そしてそのままプールサイドを歩き、大きなプールの前に来た。


「さあ、早速泳ぐのです!!」


 秋根がそう叫び、飛び込もうとする。


「秋根、準備運動は?」

「え? いらないでしょ」

「しなきゃダメだよ。お兄ちゃんもそう思うよね」

「あ、ああ」

「じゃあ、しよう!」


 秋根は「えー」と言っていやがったが、優子が睨むと、「はーい分かりました」と言ってしぶしぶ優子に合わせて準備運動をし始めた。本当にこの二人、どっちが年上かわかんねえな。


 そして準備運動が終わると、秋根はダッシュでプールに飛び込んだ。


「あ、気持ちいいよ。二人もおいでよ」

「秋根、お前はいきなりすぎるだろ。ゆっくり入れよ」

「いいじゃん。僕は飛び込んではいるのがいいと思うな」

「じゃあ、俺は普通に入るのがいいと思う」

「分かってないの」


 そして俺と優子は手で慎重に体を支えながらプールに入る。

 冷た! まずはそう思ったが、一瞬で体がなれ、ちょうどいい温度になった。


「じゃあ、早速競争ね」

「いいよ。秋根には勝つ」

「遊星くんも参加ね」

「やだよ俺は」

「いや、強制参加だから。ね、優子」

「勿論」


 どうやら避けられないらしい。仕方hがないので、二人と並び秋根の「3、2、1、スタート!」の合図とともに泳ぎ始める。

 早速いい感じのスタートが出来た。だが、次の瞬間飛び込んだのは二人の足だ。つまるところ、俺は置いてかれているのだ。

 そして、泳ぐも泳ぐも見えるのは二人の足だけ。

 敵う訳がねえと思った。当たり前だ。二人の身体能力は俺よりもはるかに上なんだから。



 結局大差で敗北した。


「遊星くん、おそ!」

「そうだよ。お兄ちゃん、男でこれは恥ずべきだよ」

「うるせえ」

「うるせえっていう資格はあるのかな?」

「黙れ」


 これ以上言われたらムカつきで叫んでしまうかもしれない。ただでさえ女子である二人に負けているのに、これ以上何かあったらイライラでどうにでもなりそうだ。


「秋根、俺は別のところで泳いでいいか?」

「嫌なのです。遊星くんは一緒に泳ごうよ」

「……競争ナシならな」

「分かってるよ」


 そして、プールで三〇分程度泳いだ。だが、そのタイミングで、室内プールには飽きてしまったので、外に出る。

 外のプールは日光が当たっていて、室内とはまた違った感じだった。正直、新鮮味がした。

 そして外のプールには秋根や優子みたいな水着の人が多い。しかも結構カップル連れだ。


「お兄ちゃん。まさか他の人の胸見てるの? 変態?」

「違うわ。ただ、カップルが多いなって思ってみてただけだ」

「遊星くん、それは本当なの?」

「ああ、本当だ。神に誓う」

「なら信じる」

「分かった」


 漸く二人共納得してくれたようだ。


 そして泳ぐが、屋外プールはやっぱり軽く海のような感じもする。サンサン日光が輝く中プールの水が若干暖かいのだ。

 そのおかげで気持ちがいい。この、カップルたちはビーチ感を楽しむためにここに来たのだろうか。


「うわ!」


 水が飛んできた。見るとそこには優子がいた。「油断大敵だよ。お兄ちゃん」


「何だと!」


 俺も思わず水をかけ返すすると、今度は背中の方から飛んできた。「僕の存在も忘れちゃだめだよ」


「お前もかよ」

「これからすることは戦いじゃなくて、一方的ないじめだからよろしく」


 そんな、漫画のセリフみたいなことを言った秋根は優子と一緒に水を俺にかけてくる。


「てめえら」

「えへへ、えへへ、えへへ、えへへ」



 優子は笑いながら連続攻撃してくる。俺はそれに対して水をかけ返すが、勿論後ろにいる秋根が黙ってはいない。こうなったら、もう秋根が言ってた通りただのただの蹂躙だ。

 本当これ、有罪に出来るんじゃないか?

 暴行罪で誰か検挙してくれ。逮捕状を出してくれ。


 だが、そんなことを考えている間にも二人の攻撃は止むわけじゃなく。

 段々苦しくなってくる。おぼれたかのような錯覚を覚える。否、実際に水が鼻に入ってきているのだ。

 だめだ、これはもう耐えられん。


「やめろ!!!!!!」


 俺はたまらず叫んだ。


「水が大量に飛んできておぼれてるんだ。本当にもうやめろ」


 そして二人の顔を見ると、しょぼぼんとしていた。


「マジで、冗談じゃすまないレベルになってきてたから、やるならもう少し軽めにやれ」

「「はーい」」



 二人はそう返事し、軽い水の掛け合いっこになった。

 平和だ。

 だが、あまりにも刺激が無さ過ぎたので、「もう少し強くしていいぞ」と言った。

 そしたら、二人共容赦なくなったのはもちろんの話だ。

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