第25話 ファミレス

 そして、優子がいなくなってから一週間たった。今日は秋根はちょっと出かけているから一人置いてかれてしまった。

 その間に、インターフォンがなった。そう言えば前にもこんなことがあったなと思い、玄関を開ける。すると、宅配便が来ていた。荷物を受け取り、秋根の部屋の前に運ぶ。だが、そこでよからぬ欲がわいてしまった。


 中身が気になってしまったのだ。

 そこで、中身を見る。するとその中身は……


「何だよこれ」


 コスプレ衣装だ。しかも、派手目な衣装……そう、胸元が強調されている衣装だ。しかもこのキャラは、語尾がなのですのキャラだ。もうどうなるかは分かっている。

 まさか、秋根のやつ、コスプレに興味を持ったのか?


 そして……見なかったことにしようと。心に決めた。

 だが、いつかコスプレ衣装で抱き着かれることになるだろうなとは思ったが。


 そして部屋に戻り、ラノベを読み始める。


 そしてその間に玄関のドアが開いた。秋根が帰ってきたのだろう。

 だが、珍しいことに俺の部屋を訪ねてこなかった。やはり、あの衣装のことだろうか。そして今日、ラノベを読みながら秋根の来報を待つ。俺としてもコスプレした秋根を見たい。だが、その日、秋根が次に来たのは昼ご飯のお誘いだった。しかも「外で食べよう!!」と言ってきた。


「今日は外なのか」

「うん。いつも家だとつまらないじゃん」

「そうだな!」


 そして二人で手を繫ぎながら外を歩く。心なしか周りの人に見られている気がする。それは秋根の美貌からだろうな。

 そして、俺たちはレストランへとついた。レストランと言っても所謂ファミレスと言ったところだが。

 そしてメニュー表を開くと、多種多様なパスタやハンバーグ、チャーハン、ラーメン、そしてグラタンなどのメニューがあった。


「どれにするか迷っちゃうね」

「そうだな」


 実際パスタも食べたいし、ハンバーグも食べたい。さらにグラタンもあるとなれば簡単に解を出しては後悔する結果となる。

 そして迷った結果、俺がハンバーグ、秋根がパスタで、互いに半分こにすることにした。


「決まったね」

「そうだな」

「あ、ドリンクバー取りに行こうよ」

「おう!」


 ドリンクバーを頼むことで、ドリンクバーコーナーから好きなドリンクを入れることが出来るのだ。カフェラテを入れ、秋根はコーラを入れていた。


「秋根はコーラか。意外だな」

「意外って何なの?」

「だって、秋根ってなんとなくミルクティとか入れそうなイメージだから」

「だとしても、コーラを入れてはいけない理由にはならないのです。という訳で、コーラを入れさせてもらうね」


 そして秋根はコーラボタンを押して、コップにコーラを注ぐ。そしてそんな秋根を見ながら、茶葉を入れ、お湯を注ぐ。


「それ、面倒くさくない?」


 俺の様子を見て秋根が言った。


「まあ面倒くさいけど、飲みたいんだからいいだろ。それに、一回入れたらコップ三杯くらい飲めるし」


 それに対して、秋根は複雑そうな顔をしていたが、何も言わずに席に戻った。


 そして、そこからすぐにご飯が来た。濃厚そうなハンバーグだ。そして秋根の前にもパスタが来た。明太子スパゲッティだ。


「わー、美味しそう」

「だな」

「じゃあ、早速食べよう!!」


 そして俺たちは食べ始める。見た目同様美味しい味だ。そして一通り食べた後、一口交換をする。

 パスタも普通においしい。流石と言うべき味だ。

 そして、食べ終わった後、秋根がラノベを取り出してきた。


「さあ、二人で読むのです!」


 そう、ラノベを片手で秋根が言った。


「え? ここで読むのか?」

「もちろん!」


 え? ファミレスで?


「何固まってるの?」

「嫌だってご飯食べる場所じゃん」

「周り人いないよ?」

「じゃあ……いいのか」

「うん」


 そして二人で読み始める。しかし、家とは違って、新鮮な感じがする。


 そして互いに読み始めてしばらくたった時、


「そう言えば少女漫画は読まないの?」

「え?」


 忘れてなかったのか。まずい。


「大丈夫。少女漫画もちゃんと入れといたから」

「……抜け目ないな」

「えへへ、ちゃんと読んでよ。僕が見張ってるからね」

「……何だよその口調は」

「いいじゃん」


 なのですに続いて僕っ子口調か……いや、前にしてたなこれ。


「はあ」


 そして少女漫画を頑張って読む。やはり中々上手く読み進められない。

 これだったらラノベの方が数倍読みやすい。

 そしてまあ数十ページ呼んだあと、ラノベに乗り換えた。うん、やはりラノベこそ至高。ラノベが最高の書物だ。


 そして、四時間程度たち、客がまばらに入って行き、席が埋まり始めた。そう言えば今は五時半、そろそろ夕食の時間だ。

 という訳で俺たちは帰ることにした。 


 そして帰り道に「今日これで終わるのもったいないね」と、秋根が言う。まさか、ここから何かするのか?


「今日。そういう事で、ここ行かない?」


 そう見せられたのは、バイキングのページだ。


「まさか、夜も外食?」

「うん。せっかくだから」

「そうは言われてもな。まったくお腹の準備してないぞ」

「それは大丈夫。食べても食べなくてもお金変わらないから。それに昼もそこまでいっぱいだったという事はないでしょ?」

「まあ、そうだか」

「じゃあ、行こ!」


 そして俺たちはバイキングへと向かう。……こんな外食贅沢をしてていいものか。


 そして、バイキングの値段は、一人二二〇〇円(税抜き)と書いてあった。恐ろしい値段だ。だが、秋根には余裕で払えるのかなと思ったら、すこしその恐怖も薄らいだ。中にはパスタやハンバーググラタンから揚げ、ラーメンそば、諸々のおいしそうな料理が置いてある。

 少し楽しみになってきた。


「さあ、ジャンジャン食べるのです。すべて私のおごりだからね」

「ああ」


 そして二人で中に入る。

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