第38話 異世界転移チートハーレムのはじまり

 人が戻ってハイ終わり、というわけにはいかない。

 なにせ二ヶ月以上、人類も魔王軍も消滅していたのだ。


 焼けた村、腐った食料、風化した設備、変化した環境。

 すべてをもとに戻すまで、だいぶ時間が掛かるだろう。


 復興に関しては、俺も各地を回って手を貸した。

 物質召喚を用いれば、作業効率も上がる。


 ふと、『あの城』に訪れて、窓から中を覗いてみる。


 相変わらず、無表情なやつだ。

 主人たちとの日々が帰ってきたというのに。


 でも、こころなしか頬が緩んでいるような気がする。


「ソウジさーん」


「ん」


 アンフが現れた。


「なんですかー? 昔の女が気になるんですかー?


「昔の女って言うな。アンフ、暇なら一緒に妖精の森に行くか? あ、やっぱいいや」


「どういう意味ですか!! まさか、浮気!?」


「ちげーよ。ミチコと合流する予定なんだよ。人間が森に立ち入らないように、守護モンスター召喚してもらおうと思って」


「私がいてもいいじゃないですか」


「だって」


 ミチコも、彼女と一緒にいるハイラも、こいつのこと嫌いなんだもん。


「もういいです!! ソウジさんなんか嫌いです!! うえーん」


「わかったよ。……アンフ、ちょっと」


「へ?」


 若干緊張しながらも、アンフを抱きしめた。


「いまはこれで我慢してくれ」


「……」


「アンフ?」


「ひゃあ」


 うわっ!!

 アンフのやつ気絶しやがった!!

 えぇ!? そんなに嫌だったの?


 て、てっきりそういう関係になったものとばかり。


「いきなり嬉しい事が発生して気を失ったんでしょう」


 この声は!?

 振り返れば、ラスプが窓を開けてこっちを眺めていた。


「ソウジさまはアンフ様の扱いが少々下手なようですね」


「へ、下手っすか……」


「アンフ様は徐々にボルテージを上げたほうが興奮するタイプです」


「そうなんだ……」


 うわぁ、めちゃくちゃ恥ずかしい。

 女の子の扱い方を他の女の子にダメ出しされるの、精神的にくるな。


「わたくしが指南いたしましょう。全世界女性の扱い選手権を毎年優勝しているので」


「よろしくおねがいします」


「ちなみに」


 きたきた。


「ロヲロヲ様を小指一本で倒したことがあります」


「お前を作った人なのに!?」


「天界の頂点に君臨する全能神を5秒で屈服させました」


「嘘つけよ」


「実は私がすべての黒幕です」


「絶対ウソだ!!」


「事実です。究極のスーパーメイドですので」


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 さらに数日、魔王軍が世界征服を再開したと聞き、再びアルエース大陸へ渡った。

 その道中、エルフを奴隷化させている人間たちを懲らしめなくてはいけない。


 でも文句は言うまい。人類を戻した責任があるし。

 ようやく、俺の異世界生活が本格的にはじまった、て感じかな。







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※あとがき


終わりです。

本当は10話で終わらせる予定だったんですけど伸びちゃいました。

応援ありがとうございました。

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異世界転移したら人類滅んでました。〜性悪女神に煽られながらもがんばります〜 いくかいおう @ikuiku-kaiou

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