第28話 女神心と秋の空
※前回までのあらすじ
可哀想なエルフのハイラと、頭が可哀想な女神のアンフが出会ってしまった。
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アンフがハイラに詰め寄った。
「何なんですかあなたはーっ!? おうおうおう!! ソウジさんとどう言う関係なんですかあ? 返答によっちゃあ女神ビームを使わざるを得ないですねえ!! ちなみち私はソウジさんの恋人候補No.1です。まあ、私は恋人になる気なんてサラサラないんですけどね。好感度ゲキ低なんで。ははははあ!!」
ハイラのやつ、ドン引きしてる。
そうだよな、うるさいのは嫌いだって言ってたもんな。
うるさいの擬人化だもんな、アンフは。
補足しておくが、俺はアンフを恋人候補だと思ったことは一度としてない。
「なにこいつ」
ごもっともなリアクションだ。
「ソウジさん!! どんだけ浮気すれば気が済むんですかあなたは!! 私は認めませんよ。いくら異世界だからって、ハーレムエンドは認めませんよ。私は独占欲の塊ですからねえ!! シャーペンですら他人に貸しませんからねえ!!」
「てか恋人じゃないじゃん、俺たち」
「……」
お、黙った。
「そうですか、わかりましたよ。そっちがそういう態度を取るなら、もういいです。二度と顔を合わせることはないでしょう。後悔しても知りませんから。じゃ」
アンフが消えてしまった。
もう会えないんだって。
あっそ、て感じ。
「ごめんなハイラ。騒がしくして」
「誰なの?」
女神、と素直に答えそうになったが、スクランさんの言葉を思い出して、やめた。
闇雲に女神の存在を明るみにしない方がいいらしい。
理由はわからんが。
「えーっとね、なんというか、めんどくさい知り合い」
「ストーカー的な?」
「ある意味そう」
「バシッと言わないとダメよ。お前なんか嫌いだって」
「うーん」
別に嫌いってわけでもないんだよな。
たまーに楽しいし。
なんて話していると、
「どうして召喚してくれないんですかーっ!!」
またアンフがやってきた。
会わないんじゃなかったのかよ。
「普通呼びますよね? 呼び出して謝って『これからも俺の側にいてくれ』とか言いますよね? なのに無視、なのにスルー、なのに放置。女神心の『め』の字も理解してないじゃないですか!! だからいつまでも好感度低いんですよっ!!」
「勝手に悪者にされて謝るわけないだろ」
「なっ……」
正論放ったら黙っちゃった。
すると、
「うぃーす」
今度は愛しのマヤハちゃん♡ がやってきてくれた♡♡
「マヤハちゃん!!」
さらなる女神の登場に、ハイラはため息をついている。
「せんぱーい、今日は『新人女神の歓迎会』っすよー、そろそろ行きますよー」
「マヤハァ、聞いてください!! 実はカクカクシカジカで」
「そりゃ先輩が悪いっすよ」
「うわああああん!!」
またアンフが消えてしまった。
今日は一段と騒がしいな。
残されたマヤハちゃんが、ハイラを見やる。
「エルフっすか、ソウジくんは次々いろんな女と仲良くなるねえ」
「不思議と女の子ばっかり」
一番仲良くなりたいのは、マヤハちゃんなんだけどねぇ。
「ま、先輩の気持ちもわかってやってよ。あの人、天界でも浮いてるから、構ってくれるソウジくんが好きなのよ」
「浮いてるんだ。だろね」
「私ですらメッセージを既読無視するし」
「うわ、ガチじゃん」
「でも可愛げはあるから、今後ともよろしくー」
と言い残し、マヤハちゃんも消えてしまった。
構っている、か。
構わされているの間違いでは?
「ソウジ」
「ん?」
「いっそ付き合ったら?」
「え!?」
「そしたら少しはおとなしくなるでしょ」
俺の体力が保たねえと思うよ……。
そんなこんなで広いワンボックスカーを召喚し、俺たちは横になった。
アンフかあ、アンフねえ。
嫌いではないんだけどなあ。
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※あとがき
どうにかしてアンフとくっつけたいんですけど、難しいです。
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