第30話 ミチコちゃん

※前回までのあらすじ


もうひとりの異世界転移者、ミチコと出会ったソウジ。

なんと彼女は港区出身のナチュラル港区女子だった。


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 日本人。

 俺と同じ世界の住人。


 しかも、俺より先にこの世界に来ている女の子!!


「い、いつこの世界に!? アンフには会った? さっきの魔物召喚はなに? ロヲロヲさんって知ってる!?」


「ひっ!!」


 ミチコがハイラの後ろに隠れてしまった。

 うぅ、つい興奮して質問攻めしちゃったな。


「ご、ごめん。えっと、君はいつこの世界にきたの?」


「5年前です……」


「アンフは知ってるよね?」


「……はい、私をこの世界にぶち込みやがった女神ですよね」


「嫌そうな言い方」


「嫌でした。この世界ネットないし、みんなフレンドリーでアクティビティに溢れているし……正直、死んだとき素直に天国に行きたかったです」


 そういう考え方もあるか。

 確かに、世界が違うだけあって、最初は苦労したな、俺も。

 いまもか。


「ほんと、余計なことしました、あの女神」


 嫌われてんなー、あいつ。


「で、勇者って、魔王を倒すために旅をしている……」


「あ、はい。そうです」


「君が?」


「はい」


 とても勇者には見えないな……。

 まあ、魔物を召喚できるみたいだし、かなり強いんだろうけどさ。


「この世界で師匠に拾われて、魔法を教わって、王様に能力を買われて、勇者に任命されました。旅人ならいろいろ融通してもらえるし、基本的に一人なので、引き受けちゃいました」


「なるほど……」


「一応、悪い魔族は倒していました。勇者らしいことしないと、怒られるので」


「さっきの魔物召喚はアンフから貰った能力なの? 俺は元の世界の物を召喚できるんだけどさ」


「いえ、なにも貰ってません。ただ、もう苦しんで死ぬのは嫌なので、丈夫で老化が遅い体にはしてもらいましたけど」


 んー? スキルじゃないってことは魔法なのか。

 どうせならスキルを貰っておけばよかったのに。


 あぁそうか、俺が死んだとき、望みを叶えると言われて俺はスキルを願った。

 けどこの子は、丈夫で長生きできる体を望んだってわけか。


「ところでさ、なにしてたの? 戦場跡で」


「私の魔法、魔物の死体を素材にして、召喚できる魔物を増やすんです」


「ふーん。じゃあ、いちばん大事な質問。……なんで人間がいなくなったか、知ってる?」


「確信はないですけど……たぶん魔法の師匠が原因だと思います」


「魔法の師匠……」


「はい、とても長生きで、偉大な魔法使いらしいです」


「まさか、名前は……」


「ロヲロヲです」



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※あとがき


ちなみにミチコちゃんはナチュラル港区女子なので、家は大豪邸です。

母は医者、父は不動産王です。

でっかい犬を飼ってます。


死因はエナドリの飲み過ぎです。

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