第17話 ソウジハーレム

※前回までのあらすじ


人類一斉消滅の謎を追うべく、偉大なる魔法使いロヲロヲを探すことになったソウジ。

久方ぶりに究極のスーパーメイドラスプの屋敷に訪れたのだが、性悪クズ女神のアンフが来てしまってさあ大変。


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「ん……」


 夜中、妙な肌寒さを感じ、目を覚ましてしまった。

 来客用の個室。ふかふかのベッドの上で、ムクリと起き上がる。


 あぁ、掛け布団がズレてる。

 寝相悪いからな、俺。


 いま何時だろう。

 部屋の隅にある大きな置き時計を一瞥する。


「二三時か……トイレ行こ。懐中電灯召喚」


 部屋を出て、暗い廊下を照らしながら歩く。

 正直不気味ではあるけれど、幽霊だろうがなんだろうが、出てきてくれるとむしろ嬉しい。


 感じたいのだ、人を。


「そういえば、アンフのやつ帰ったのか?」


 あいつ、今日は私もここに泊まります、とか抜かしやがって。

 ラスプが気に入らないから、イチャモンをつけまくりたいんだろう。


 迷惑なやつだ。




「ふぅ」


 用を済ませて、なんとなくアンフが借りている部屋の前まで行ってみる。

 まだいるなら、ノックして叩き起こしてやろうかな。

 シンプルな嫌がらせ。


「ん?」


 部屋から声が聞こえるな。

 アンフのやつ、帰ってなかったのか。


「んほ♡ これヤバい♡ ヤバすぎますうううう♡♡♡♡」


 うわ。

 またムラムラしてんのかよこいつ。

 他人の部屋でなにやってんだか。


「ラ、ラスプさん、ちょっと待って!! んほおおおおお♡♡」


 え、ラスプ!?

 ラスプも一緒なのか?

 もしやアンフのやつ、ラスプがメイドだからってゲスいことやらせてんじゃないだろうな。


 ドンドンドンと扉を叩いてみる。


「おい、なにやってんだアンフ!!」


「ソウジさん!? なにって……それは……その……おほ♡」


「いくらなんでも調子に乗りすぎだぞアンフ!! 開けるからな、ラスプを助け出してやる」


「ど、どうぞ」


 どうぞって、服着てんのか?

 まあいい。とにかく扉を開けてみると、アンフは……。


「ん?」


 ラスプに腰のマッサージをされていた。


「あれ」


「す、凄いですよラスプさん。マジヤバ……いぃ!! 飛んじゃう!! 飛んじゃいましゅうううう♡♡」


「……」


 ごめんなさい。

 最低なのは俺でした。

 マッサージですか。そうですよね、普通に考えてイヤらしいことなんかしてないですよね。


「ラスプ、無理やりやらされてるのか?」


「いえ。わたくしから提案しました。何を隠そう、わたくしはマッサージ世界大会腰部門優勝者ですから」


「腰部門って……腰以外は優勝してないの?」


「カッ!!」


 あ、やべ。


「ピーーーーーッ!!!!」


 ラスプはプライドが傷つけられると死んじゃうんだった。


「う、うそうそ、ラスプはスーパーメイドだもんな!! 腰以外も完璧だよな!!」


「爆破シマス、爆破シマス」


「周りを巻き込むな!! ラスプ最強!! 大好き!! かっこいい!!」


「……ふぅ、ギリギリでした」


「よかった。ちなみに爆発の範囲は?」


「したことないので不明ですが、ロヲロヲ様曰く銀河が消滅するらしいです。究極のスーパーメイドなので」


 究極すぎんだろ。


 とかなんとか騒いでいると、神々しい光が出現し、


「せんぱ〜い、そろそろ時間っすよ〜」


 マヤハちゃんが現れたのだ!!

 華奢な体。生意気そうな顔と口調。紫色の髪にピンクのインナーカラー。


 なにより、たぼっとしたパーカーとホットパンツ!!


 うぅ、彼女こそ本当の女神だ。


「なにやってんすかせんぱ〜い」


「ちょ、ちょっと待ってくださいマヤハ。すぐには起き上がれないです」


「ウチら女神一課C班の定例会議、遅刻は厳禁のはずっすよ」


「待ってくださいって」


 班とかあるんだ。

 どんだけいるんだよ、女神。


「ったくも〜。ん?」


 マヤハちゃんと目があってしまった。

 おめめくりくりで可愛い。


「ははーん」


 にやにやしながら近づいてくる。


「なーんか知らない女の子増えてるし、ずいぶん楽しそうっすね、ソウジくん」


「べ、別にそんな……」


「よ、モテ男」


「あはは……」


 君からもモテたいな。

 なんちゃっテ。


「なーに嬉しそうに笑ってんだ〜? こいつ〜」


 うりうり〜と、じゃれ合うような軽いパンチを食らわせてくれた。

 はあ、幸せ……。


「んじゃ、先輩行きますよ〜」


 マヤハちゃんはアンフの腕を掴むと、ベッドから引きずり下ろした。


「いてて、痛いですマヤハ。ソウジさん、また今度!!」


「あ、うん」


 そんなこんなで、二人は消えてしまった。

 もっと話したかったな、マヤハちゃん。


 待てよ、アンフを召喚できたってことは、マヤハちゃんも召喚できるんじゃないのか?


 夜、誰もいない街の、適当な家で召喚してさ。

 こう、踊ったりしてさ。

 あわよくば……。


「ソウジ様」


「なに?」


「それはさすがに気持ち悪すぎると思います」


「心を読んだ!?」


「究極のスーパーメイドですので」


 究極すぎる……。








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※あとがき


久しぶりに更新しました。

といっても、実は先の展開これっぽっちも考えてないんですけどね。

一応大まかな設定とか、人が消えた理由は考えてあるんですけど。


頑張って更新します。

だから見限らないで。

捨てないで。

一緒にいて。

独りにしないで。

言うこと聞くから。

もう誰とも連絡しないから。

うぅ……。

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