議論と出した答え

 ここはハルリオンの家の中。そんなに立派とは言えないが、男性の部屋と思えない程に綺麗に整頓されている。


 ――意外と綺麗好きらしい。


 現在この家の客間では、ハルリオン、ルミカ、カールディグス、メイミル、四人が椅子に座り話し合っていた。


「うむ、どうする?」

「そうですね……師匠が学園入りするのは、余りいいと思えません」

「ルミカ、なんでそう思う?」


 そうハルリオンが問うとルミカは、真剣な表情になる。


「恐らく師匠は、礼儀作法以外……全てクリアするでしょう。それはいいですが……学園に入ったとして、師匠に付いてこれる者などいないと思います」

「……なるほど、そうかもしれんな。だが、それは手を抜けばいいんじゃないのか?」

「ハルリオン様、そんなことができるんですか?」


 そうカールディグスに聞かれハルリオンは考えた。


「そうだな……意識していれば大丈夫だろう」

「ですが、師匠にそんなことできるとも思えないけど」

「あのなぁ……メイミル。オレだって、そのぐらいはできる!」


 ハルリオンがそう言うと三人は、ジトーっと疑いの目でみる。


「……まあそれはいいとしても。男性ではなく女性として、誤魔化すことができるのですか?」

「カール、そっちの心配か。確かに、難しいだろうな。だが……」

「難しいですね。ですが、それは私たちでカバーできるかもしれません」


 そうルミカが言うと三人は、不思議に思い首を傾げた。


「どうカバーできると? できるとすれば、僕たちが……あーそういう事ですか。学園で誰かが見張っていれば、なんの問題もありませんね」

「カール、そういう事。でもそれには……」

「アタシたちが、教師の採用試験に合格しなきゃってことだよね……ルミカ」


 それを聞きハルリオンは青ざめる。


「……お前たち、本当に教師になるきか?」

「当然です。師匠を野放しにする訳には、いきませんので」

「そうそう……それに、師匠が居ないとつまらないしね」


 そうカールディグスとメイミルに言われハルリオンは、ハァーっと溜息をついた。


「それはいいが、城の方はどうする? オレは、この姿だから問題ない。だがお前たちは、許可をもらわなきゃならないはずだ」

「そうですね……まぁ大丈夫でしょう。兵士長が留守の間、第一部隊に仕事はありません。兵士長を探す任務以外には、ですがね」

「カール……そうか。だが……それでも、許可が下りるとも思えん」


 そう言いハルリオンは三人をみる。


「まぁそれは、とりあえず許可をもらってからにしましょう。それと……師匠が、本気で試験を受けられるのであればです。難関が一つありますよ」

「難関? ルミカ、それって……」

「師匠の言葉の使い方と姿勢など、諸々と直さなければなりません」


 そうルミカに言われハルリオンは、ゾッとし青ざめた。


「……そうだな。仕方ねぇ……まだ約一ヶ月もある。その間に、身に付ければいいんだろ!」


 そうハルリオンがいうと三人は、ウンウンと頷く。

 その後しばらく話したあと四人は、解散する。

 それからルミカとカールディグス、メイミルは城に赴き教師になるための許可と紹介状をもらう。

 そしてその後ハルリオン達は、一ヶ月後の試験のために各々修行をしたのだった。

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