二人の旅立ちと疑心
ここは王立騎士養成学園にある馬小屋の前だ。辺りは日が沈みかけていて薄暗い。
そしてこの場所には、ハルリアとカールディグスとダギル学園長がいる。
あれからハルリアは、ルミカとメイミルに手紙を書き連絡をした。勿論、ティオルにも手紙を送る。その後、旅の仕度をした。
片やカールディグスも旅立つ準備をする。
因みに荷物になるため持っていくのは必要最低限の物だけだ。
現在ハルリアはハルリオフをみていた。
「……連れて行くなら、コイツがいい」
「ハルリア嬢……この馬が気にいったみたいですね」
「ほう……ハルリオフか。コイツは中々人に懐かん馬だが……」
そう言いダギル学園長は不思議に思い首を傾げる。
「そうなんですね。ですが、かなりハルリア嬢のことを好きみたいですよ」
「なるほど……馬にまで好かれるとはな」
「……オレ人間の女がいい」
それを聞きカールディグスとダギル学園長は呆れた表情を浮かべた。
「まあ……それはいいとして、そろそろ向かわなければ」
「そうだな。少しでも早く着かないと、ティオルが何をするか分からん」
「……ティオルが何かするとも思えませんが?」
そう言いカールディグスは、ジト目でハルリアをみる。
「捕らえた者が目を覚ましたら、その者は地獄をみることになる。生気を失ったら自白が見込めなくなるからな」
「なるほど、ですね。じゃあ急ぎましょう」
カールディグスはそう言うとハルリオフを外に連れ出した。
その後ハルリオフは、ハルリアをみるなり頭をかじる。
「……頭が馬の尻にみえるのか?」
「学園長……確かにそれはあるかもしれません」
「尻……いい加減にしろっ!」
そう言いハルリアは、ハルリオフの口を思いっきり力を込めて押して自分の頭から剥がした。
「ハハハ……そうですね」
「プッ……ヨダレだらけだぞ」
カールディグスとダギル学園長は我慢できず大笑いする。
それをみたハルリアは不愉快になった。
「いい……行くぞ!」
「そうですね……プッ……」
その後なんとか堪える。
そしてハルリアとカールディグスは馬に乗った。
「それでは行ってきます」
「ああ、頼んだ。二人の旅を少しの間だが楽しんでこい」
そう言われカールディグスは一瞬「……」言葉を失う。
「そうだな。偶には、そう思ってもいいか」
「ハルリア嬢? 僕はノーマルですからね」
「ああ……オレもそうだ」
ハルリアはそう言い、ニヤリと笑みを浮かべる。
「からかってますね。まあいいです……じゃあ落ちないように手綱を握っててください」
そう言いカールディグスは自分の手綱を握りハルリオフに走れと指示をだした。
するとハルリオフは、その指示に従い猛スピードで走りだす。
それを視認するとダギル学園長は二人がみえなくなるまで見送る。
(さっき……ハルリオンのあの言葉の意図はなんだ? ふざけて言ったようにもみえなかったが。まさかな……思い過ごしだろう)
そう思いダギル学園長は、その場をあとにした。
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