【悲報】ＴＳ英雄の苦悩〜なんでこうなった!? オレは、早く元の姿に戻りたいんだ!! 『いえ、師匠はそのままの方が可愛いですよ♡』〜

冒険者登録

　ここはベバルギの町にある冒険者ギルド内。

「そう……冒険者登録をしにきたのね。じゃあ待っててくれるかしら、書類とか必要な物を持ってくるわね」

　そう言いヒナギクは、カウンターの奥へ向かった。

「いいですねっ！　変なことは絶対に言わないでくださいよ」

「そうだな……気をつける。それにしても、そんなに人がいないな」

「ウン、クニガネ……ツカエソウナヒトタチヲツレテイッチャウノ」

　ピュアルはそう言うと悲しい表情になる。

「連れて行く？　襲ってじゃなくてか」

「ソウ……ボクノムラハ、ソンチョウガキョヒシタカラ……オソワレタ」

「そういう事ですか……」

　そう言いカールディグスは怒りの表情になり無作為に一点をみつめた。

「お待たせぇ。あら、何かあったのかしら？」

「いえ、何もありません」

「そうなのね……それじゃ、この書類に必要なことを書いて」

　ヒナギクはそう言い書類をカウンターの上に置き説明をする。

　それを聞きハルリアとカールディグスは書類に記載していった。

　二人は記載し終えると書類をヒナギクに渡す。

　その書類をみながらヒナギクは読み始める。

「ハルキュア・ロイズ、十五歳……剣と聖光の魔法が得意。あら……見た目と違って戦闘向きなのね」

　そう言いヒナギクはハルリアをみる。

　そうハルリアは偽名をハルキュア・ロイズに変えたのだ。

「人は見た目じゃない」

「ごめんなさい、そうですね」

　ヒナギクはそう言うとカールディグスの書類を持った。

「次は……カデリウス・マルビ、二十三歳。剣と五属性魔法……火・水・風・光・闇。その中でも光よりの雷が得意。その年で凄いわ……かなり努力したのね」

　そう言いヒナギクはカールディグスに熱い眼差しを送る。

　そうそうカールディグスも偽名をカデリウス・マルビに変えたのだ。

「そ、そうかな……どうなんだろう。僕にとっては、まだまだです……」

「そう……そのぐらいの気持ちじゃないと強くなれないものね」

　カデリウスはそう言われ恥ずかしくなり顔を赤らめる。

「エーット……ボクハ、ドウシタライイノ」

「ピュアルは……そうね。以前に登録は済ませているから、登録カードをみせてくれればいいわよ。そうそう二人のも作らないとね」

　そう言いヒナギクは持ってきた二枚のカードに記載していった。そのカードをハルキュアとカデリウスに渡す。

「おお、アタシの名前がある」

「ええ、そうですね。これで依頼が受けられる」

　ハルキュアとカデリウスは登録カードをみて目を輝かせる。

「クスッ……それはそうと早速、仕事探しかしら？」

「はい、そのつもりで来ましたので」

「分かったわ。だけど、その前に説明することがあるのよね」

　そう言いヒナギクはカウンターの上に紙を一枚置いた。その後、ランク付けの説明を始める。

　ランクは上位から順にＳＳ→Ｓ→Ａ→Ｂ→Ｃ→Ｄとなるのだ。因みに最下位のＤから始まり仕事の功績によりランクが上がる。

「ランクか……これは楽しそうだ」

「ハルキュア、余り無茶な仕事はしないでくださいね」

「クスッ、大丈夫よ。最初は簡単な依頼からだから」

　そうヒナギクに言われカデリウスは、ホッとした。

　その後ヒナギクは依頼方法などを説明する。

　それを三人は聞いていた。

　説明を終えるとヒナギクは依頼書を取りにカウンターの奥へ向かう。

　そしてハルキュアとカデリウスとピュアルはヒナギクが戻ってくるまで話をしていたのだった。