剣術、対物の試験①

 ここは騎士養成学園の剣術試験会場がある付近。

 あれからハルリアは、セリアーナとマルルゼノファの試合をみた。

 勿論、二人は余裕で勝利する。

 そして現在、三人は試合会場から対物の試験が行われる場所に移動していた。


「それにしてもハルリアさんは、見た目と違い強いですよね」

「マルルゼノファ……そうかしら。ですが、人を見た目で判断しない方がいいですよ」

「そうね……ハルリアの言う通りだと思う。私の母も同じようなことを言ってたわ」


 そう言いセリアーナはハルリアをみる。


「そうなのね。あ、そろそろ……対物戦の試験会場ですわ」


 ハルリアがそう言うと二人は頷いた。

 そして三人は対物の試験会場までくる。

 その後ハルリア達は、みんなと共に教師から対物の試験方法を聞いた。


「なるほどですわね。仕掛けられた物体がコースのどこかに隠されている……それが現れた瞬間に破壊していく。それも千メートル全力で走りながら……」

「ハルリアさん、タイムも計るみたいですね。僕は、走るのが苦手……」


 そう言いながらマルルゼノファは苦笑する。


「でも、説明ではタイムが評価にならないって言ってたわよ」

「セリアーナ、そうね。恐らく速さじゃなくて、正確さをみるのかもしれないわ」

「なるほど……だが、なぜタイムを計るんだ?」


 そう問われハルリアは考えた。


「それね……多分だけど、誘導じゃないかしら」

「誘導? どういう事、意味が分からないんだけど」

「そういう事か。速さが評価に入らないけど、タイムを計るってことで……そのことにばかり気を取られて集中できない」


 それを聞きハルリアは、キョトンとする。


(ほう、思ったよりも頭悪くねぇな。……マルルゼノファは、化けるかもしれねぇ)


 そう思いハルリアは、ニヤリと微かに笑みを浮かべた。


「そういう事になるわね。だから、慌てないで集中した方がいいってこと」


 そうハルリアが言うと二人は頷く。


「そっかぁ、そうだね。ただどこに仕掛けられているか分からないし……それが、どこから現れるかも分からない」

「セリアーナの言う通りだ。どんな仕掛けがされているか……」

「これは、師匠から聞いた話だけどね。戦場では、何が起きるか分からない。ましてや、どんな仕掛けがあるかも……」


 そう言いハルリアは、真剣な表情で二人をみる。


「そうなると……これは、実戦を想定した試験ってことか」

「そういう事になるわね」

「……ハルリアの師匠って、凄い人みたいね。普通は、そこまで教えないと思うけど」


 それを聞きハルリアは、まずったかと思った。


「さっきの戦い方といい……ハルリアさんの師匠って誰なんですか?」

「そうね……私も気になるわ。ハルリア、誰なの?」

「あーえっと、それは……」


 ハルリアはどう答えていいか分からず言葉に詰まる。


(どうする? ハルリオンって言った方がいいか……それとも、誤魔化した方が……)


 そう思いハルリアは、俯き自問自答していたのだった。

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