剣術、対物の試験②

 ハルリアはセリアーナとマルルゼノファに師匠が誰なのかと聞かれて言葉に詰まった。


「あーえっと……そうね。隠しても、いつかは分かってしまうだろうし……話すわ。私の師匠は、ハルリオン様なの」


 目を泳がせながらハルリアはそう応える。

 それを聞いた二人は、一間隔おいたあと驚き仰け反った。


「え、ええ……ちょっと待ってください。それは本当なんですか?」

「待って、ええ……それって本当なの?」


 そう二人に問われハルリアは、コクリと頷く。


「本当よ。だけど、今は師匠が行方不明だから……」


 そう言いハルリアは俯いた。……勿論、これは演技である。


「……そうか。でも、それならハルリアさんが強い理由も納得いくな」

「ええ、そうね。だけど、まさか……あのハルリオン様が師匠だとはね。ハルリア、羨ましいわ」

「そ、そうかしら……。あ、そろそろ控室にいかないと」


 それ以上突き詰められるとまずいと思い、ハルリアは話題を変えた。


「そうね……行きましょうか」


 そうセリアーナが言うと二人は頷く。

 その後、三人は控室へと向かった。



 ★☆★☆★☆



「ここが控室みたいね」

「セリアーナ、そうみたいだな。だけど、なんで控室で待機なんだ?」


 そう言いマルルゼノファは首を傾げる。


「恐らく、仕掛けをみられないようにだと思うわ」

「そうね……ハルリアの言う通りだと思う」

「なるほど……そういう事か」


 納得しマルルゼノファは頷いた。


(ああは言ったが……確かに変だ。なんのために……)


 ハルリアはそう思考を巡らせる。


「じゃあ、俺はアッチの控室だから」


 そう言いマルルゼノファは、隣の控室に向かい歩き始めた。

 その時ハルリアは考えごとをしていたため、マルルゼノファのあとをついて行ってしまう。


「あ、ハルリア! そっちは、男子の控室よ」


 セリアーナの声に反応しマルルゼノファは振り返る。


「えっ、ハルリアさん……どうして?」


 そう聞かれハルリアは、ハッと我に返り辺りを見回した。


「あ、あーごめんなさい。ハハハ……こっちじゃないわよね」


 そう言いハルリアは苦笑する。その後、そそくさと女子の控室の方に向かった。

 それをみたマルルゼノファは、心の中で大うけし笑っている。それから控室に入っていった。

 ハルリアはセリアーナが待つ控室の前までくる。


「ごめんなさい。考えごとをしていて……」

「そうなのね。でも一瞬、驚いたわよ……ハルリアが男性の控室の方にいったから」


 そう言われハルリアは顔を真っ赤に染めた。


「ハハハハハ……。それはそうと……中に入りましょう」


 そうハルリアが言うと、セリアーナは頷き扉を開け中に入る。そのあとをハルリアが追った。



 ★☆★☆★☆



 ここは控室の中。部屋内には数名の女子が、まばらに座っている。

 ハルリアは部屋に入った瞬間、目を輝かしていた。


(おお……女ばかりだ。これは、目の保養にいいな)


 そう思いながらハルリアは、一人ひとり順にみる。


「ハルリア、あそこ空いてるわ」

「あ、本当ね」


 そう言い二人は空いている長椅子へと向かった。

 そしてハルリアとセリアーナは、長椅子までくると座る。その後二人は、呼ばれるまで話をしていたのだった。

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