第三章
退屈と思考と勘づくと
――……翌朝。
ここはカンロギの町の宿屋。そしてティオルが泊まっている部屋だ。
あれからティオルは何度か起きたタールベを薬を嗅がせ眠らせる。その間、仮眠をとったり持って来ていた非常食を食べていた。
そして現在、椅子に座りティオルは眠っているタールベを監視している。
(こうも暇だと退屈ですね。どうしましょうか……次に目覚めたら私の話を聞かせるのも面白そうです)
そう思いティオルは、ニヤリと笑みを浮かべた。
(隊長とカールは今どの辺りでしょうか? 急いでこっちに向かっていると思いますが……流石に遊んではいませんよね)
ティオルは不安になってくる。
そうカールディグスは、そんなことをするタイプじゃない。
しかしハルリアは偶に頭のネジが外れたようになり羽目を外す。そんな傾向があるからだ。
(まあカールが居ますし……大丈夫でしょう)
そう考え再びタールベへ視線を向ける。
★☆★☆★☆
ここはカンロギの町の商店街付近。辺りは行き交う人で賑わっていた。
ここにはハンナベルが居て街路を歩いている。
(タールベからの連絡では…………この町に居る、ってことだった。その連絡が最後……)
そう思考を巡らせながら周囲を見回した。
(この辺には居そうにないわね。気配も感じないし……。もし捕まっているとして……どこに?)
そう考え立ちどまる。
(私なら倉庫ね。でも……そんな誰でも分かるような所に居ると思う? 多分……最も身近で普通なら、その場所には捕らえ置かない……そんな所だと思うのだけど)
そう思い再び歩き出した。
★☆★☆★☆
――……午後。
ここはカンロギの町の宿屋の外である。この場には、ハルリアとカールディグスがいた。
あれから二人は寄り道をしながら、やっとの思いでこの町に来たのである。そうハルリアが何を思ったか途中の村や町に寄って観光していたからだ。
だがそれは……まあ、そういう事にしておこう。
そしてやっとの思いで、この町に辿り着いた。
因みにハルリオフは、この町の馬置き場にいる。
ハルリアは宿屋を見回した。
「大きな宿屋ですわね」
「そうですね。リュコノグルの城下町でも、ここまで大きな宿屋はみたことありません」
「そうね。じゃあ行きましょう……あっ、そうだわ。カール……先に行ってて…………買って来たい物があるので」
そう言われカールディグスは、ハルリアを凝視する。
「今更、何を買ってくるんですか? それにティオルが待ちくたびれてますよ」
「ええ……そうね。だけど……これだけは買ってきたいの」
そう言いながらハルリアは何かに警戒しているようだ。
「じゃあ……僕も行きます。ハルリア嬢だけでは心配ですので」
「いえ、カールはティオルの方に行って……心配ですので」
「…………言ってることが理解できない。だけど……そうですね。確かに僕だけでも、ティオルの所に行ってた方がいいか。じゃあ早く戻って来てくださいよ」
カールディグスはそう言いハルリアを見据えた。
「そうね……分かったわ。じゃあ早くティオルの所に行ってあげて」
それを聞きカールディグスは、コクッと頷き宿屋へと入る。
それを確認するとハルリアは商店街の方へ歩き出した。
すると何者かがハルリアのあとを追う。
(やはりな……)
そのことに気づくも、ハルリアは知らないフリをしそのまま歩いていたのだった。
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