挨拶と関係

 カールディグスとマルルゼノファは、まだ言い争いをしていた。

 それを呆れ顔でハルリアはみている。


(みてて馬鹿らしくなってきた。そもそもなんで、カールがムキになってるんだ? 意味が分からねぇ……)


 そう思い掲示板の方を向いた。と同時に、ムッとする。

 そうルミカとメイミルが、ハルリアの方をみて笑っていたからだ。


(あの二人……笑ってやがる。ありゃ止める気ねぇな)


 そう思いハルリアは溜息をついた。その後、二人をその場に残して掲示板の方へと向かう。


「待って、ハルリア嬢!?」


 そう言いカールディグスは、ハルリアを追いかける。


「ハルリアさん、僕も行きます!」


 カールディグスを睨むとマルルゼノファは、ハルリアを追いかけた。

 それをみてカールディグスは、心の中で大爆笑している。しかし睨まれたので、睨み返した。


(ハハハハハ……つらいよ……表情に出せないのがキツい。だけど……隊長、これどうする気だ? まさか、女になってもモテるなんてな。……違う意味、妬けるよ)


 そう思いカールディグスは、半目でハルリアをみる。

 マルルゼノファは気になり、チラッとカールディグスをみた。


(本当にハルリアさんの婚約者なのか? それにしては、年が離れているようだが。そうだとしても……なんでハルリオン様の許可を得ているんだ?

 ハルリアさんから師匠だとは聞いている……それにしてもだ。なんか違和感しかない……でも、ハルリアさんは否定をしなかった。……まぁそのうち分かるか)


 そうこう考えていたがマルルゼノファは、分からなかったので悩むのをやめる。

 ハルリアはルミカとメイミルのそばまでくると、ムッとした顔で二人をみた。


「貴女たち、いつまで笑っているのかしら?」

「あ、えっと……でも……ねぇ」


 そう言いながらルミカは、チラッとメイミルをみる。


「う、うん……流石は、ハルリア。男女問わずモテるなぁと思ってさ」


 メイミルはそう言うも、また笑いそうになった。


「ハァー、ワタシは別にモテたい訳じゃないのですが」

「まぁいいじゃないですか。それだけ、人気があるってことなのですから」


 そうルミカに言われハルリアは、また溜息をつく。


「そうそう、ハルリア嬢は人気者ですからね」


 そう言いながらカールディグスは、ハルリア達のそばまできた。


「これは綺麗なお姉さま方が揃っている。ハルリアさん、この方たちはいったい?」

「あ、マルル……この二人は……」


 そうハルリアが言いかけると、ルミカはそれを遮り口を開く。


「これは、失礼いたしました。私は、ルミカ・クライグと申します」

「……アタシは、メイミル・セルビノズです。それはそうと、貴方は?」


 そう言いメイミルは、マルルゼノファに問いかける。


「これは失礼……僕は、マルルゼノファ・ヴィクトノスと申します」


 マルルゼノファは、ニコリと笑い会釈をした。……明らかにカールディグスとは違い丁寧な挨拶である。


「あのー、ハルリアのお友達でしょうか?」

「はい、友達……そうですね。今は、そういう事にしておきますか」


 そう言いマルルゼノファは、カールディグスを睨んだ。

 それを察知しカールディグスは睨み返している。……心の中では笑っているのだがな。


「あのぉ~……そろそろ、結果をみに行きませんか?」


 そうハルリアが言うと四人は頷く。

 そしてその後、五人は試験の結果をみに行ったのだった。

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