合否の発表と鉢合わせ

 ……――一週間後、合否の発表日。


 ここは王立騎士養成学園。そして校舎の前に置かれている掲示板付近だ。

 掲示板は生徒用と教師用が置かれている。

 その掲示板の前には、沢山の人が集まっていた。

 そこから少し離れた所には、ハルリアとルミカとカールディグスとメイミルがいる。


「結構、人が居ますね」

「ルミカ、殆ど生徒みたいですね。多いと思っていましたが、これほどだとは……」

「そうだね、し……ハルリア。それはそうと、早く結果みに行こうよ」


 そうメイミルが言うと三人は頷いた。

 メイミルは掲示板の方に向かい駆けていく。

 それをルミカが追いかける。


「ハルリア嬢、僕たちも行きましょう」

「ええ、そうですね」


 ハルリアとカールディグスは歩き出した。


「ハルリアさん!」


 そう言いマルルゼノファは、ハルリアのそばまでくる。それと同時に、カールディグスを睨んだ。

 それを察知しカールディグスは、マルルゼノファの方を向き睨み返す。

 そのことに気づくもハルリアは、何もなかったようにマルルゼノファの方をみた。


「ごきげんよう、マルルゼノファ。今こられたのですか?」

「はい、恥ずかしながら気持ちが落ち着かなくて……」

「そうなのですね」


 そう言いハルリアは、ニコリと笑みを浮かべる。

 隣に居るカールディグスは、半目でマルルゼノファをみていた。


「それはそうと、ハルリアさんの隣にいる男性はどなたでしょうか?」


 そうマルルゼノファは言い、ジト目でカールディグスをみる。


「あっ、こちらは……」


 そう言いかけるとカールディグスが庇うようにハルリアの前に立った。


「これは失礼いたしました。僕はカールディグス・ルビアと申します」


 カールディグスはそう言うと軽く頭を下げる。


「これは、ご丁寧な挨拶を……。僕は、マルルゼノファ・ヴィクトノスと申す。それで、ハルリアさんとはどういった関係ですか?」


 それを聞きカールディグスは、何かを悟り心の中で笑っていた。


「ハルリア嬢との関係ですか……みての通り、婚約者ですが」


 マルルゼノファはそれを聞き顔を引きつらせる。


「こ、婚約者……それは……正式なものなのか?」

「勿論です。正式にハルリオン様の許可も頂いてますので」

「カール、様……えっと……」


 余りにもあり得ないことを言われハルリアは、どう答えていいか分からなくなった。


「ハルリア嬢。ここは、僕が話をつけますので発言しなくても大丈夫ですよ」

「……なるほどな。だがハルリアさんは、困っているようだが」

「それは、恥ずかしがっているだけですよ」


 そう言うもカールディグスは、今にも吹き出しそうだ。


「そうだとしても、なぜその婚約者の貴方がここにいる?」

「あーそのことですか。僕は、この学園の教師の試験を受けましたので」

「そういう事か、それで……一緒に結果をみに来たと」


 そうマルルゼノファに言われカールディグスは頷いた。

 二人の話を聞きハルリアは呆れている。

 そしてその後もカールディグスとマルルゼノファは、しばらく言い合いを続けていたのだった。

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