気持ちの切り替え

 ここは王立騎士養成学園の門。下校時間になり、帰る者が門を潜っている。

 その中には、ハルリアとセリアーナとシャルルカーナとマルルゼノファがいた。


 現在ハルリアは、セリアーナ達と話しながら歩いている。


「ハルリア、今日は一日中……乗馬だったですわね」

「ええ、シャルル。中々一人で乗れなくて……」

「じゃあ、もしかして……明日もなの?」


 そうセリアーナに聞かれハルリアは、コクリと頷いた。

 そうこう話をしているのをマルルゼノファは聞いておらず、ボーッと考えごとをしている。


(シャルルとセリアーナの話では、男としてみれないが友人としてなら好きだ……と。そうだよな……ハルリアさんとは会ったばかり。

 それに……会話もそれほどしていない。遊び……それも、まだだ)


 そう思いマルルゼノファは、ハルリアをみた。


(今は、ハルリアさんのそばに居られるだけでもいい。そうだな……今の、この関係が壊れるのは嫌だ。ってことは、友人としてでもいいか)


 マルルゼノファはそう考えがまとまると、ニヤリと笑みを浮かべる。


「マルル、急に笑って何を考えていたの?」

「あーハルリアさん、これは……そうそう……今日パルキア先生が言ったことを思い出して。ハハハ……」

「そーいえば、今日のパルキア先生の話も面白かったですわよね」


 そうシャルルが言うとマルルゼノファとセリアーナは頷いた。


「どんな話だったのかしら?」

「ハルリアさん、それが……ハルリオン様の意外な素顔をですね……」


 マルルゼノファはそう言い今日あったことを説明する。

 それを聞きハルリアは、苦笑していた。そして、心の中で怒っている。


(パルキア、あとで覚えてろよ。どんだけオレのありもしない英雄談をすれば気が済むんだ。

 それだけならまだいい、確かにそれは本当だが……女に騙されたことを話すなよな。まぁ騙されたことだけだからいい……いや、やっぱりよくねぇ〜)


 そう考えながらハルリアは、マルルゼノファが話すことに対し作り笑いをしていた。

 そしてその後も四人は、他愛もない話をしながら歩いている。



 ――場所は移り、カンロギの町――


 ここは噴水広場。その近くに設置されている長椅子には、ティオルが座っていた。そして、考えごとをしている。


(……今朝、ハルリオン様から魔法で転送されて来た手紙には……王立騎士養成学園に生徒として入ったと書かれていた。

 それだけじゃなくて、副隊長にルミカとメイミル……パルキアまでも教師としてだと。

 私は、一人で隠密に動いていると云うのに……楽しそうじゃないか! ああ……私も、こんなあてもない仕事よりも……)


 そう思い立ち上がりティオルは、渋々歩き出した。


(ハァー……でも、誰かがこれをやらないとならない。それにハルリオン様は、私を信じて全てを打ち明けてくれた。そして……これは、私にしかできないとも)


 そう言い聞かせティオルは、噴水広場から商店街へと向かう。

 そしてティオルは、商店街をみて歩いていたのだった。

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