心にもないことと名演技
ここは学園の中庭。
現在、昼休みだ。
辺りには、チラホラ生徒が居て友人と話をしている。
そして中庭に設置されている長椅子には、ハルリアとセリアーナとシャルルカーナが座り話をしていた。
「そういえば、マルルが居ないわ……どうしたのかしら?」
「ハルリア、マルルは教室でやることがあるからって言ってたわ」
そう言いシャルルカーナは、ニコリと笑みを浮かべる。
「そうなのね。ですが、やりたいことってなんでしょうか」
「さあ、何かな。ハルリア、マルルのこと気になるの?」
「気になると云うか……マルルは、いつもしつこいくらいに一緒にいるから」
それを聞き二人は、なるほどと納得する。
「そうか。そういえばハルリアって……マルルのこと、どう思ってるの?」
「セリアーナ……どうって、根性はあるなぁと思いますけれど」
「あーえっと……そういうのではなくて、好きか嫌いかですわ」
そうシャルルカーナは言うと、ハルリアを見据えた。
「そういう事でしたら、好きの方ね」
「好き……それは男として、それとも友人だから?」
シャルルカーナにそう聞かれハルリアは、何が言いたいのか理解する。
「勿論、友人だからですわ。ですが、なぜ男性として好きと聞くのですか?」
「ただハルリアが、マルルのことをどう思ってるのか気になっただけですわ」
「もしかして、マルルはワタシのことを女性としてみているの?」
そうハルリアに問われ二人は、コクッと頷いた。
(……まさか、マルルがなぁ。ハァー、流石にこれは断るしかないだろう)
そう考えるとハルリアは話し始める。
「そう思ってくれるのは嬉しい。だけど、ワタシには婚約者がいます」
「知っているわ。ですが婚約者と比べて、どうですの?」
「シャルル……そうね、ワタシはカールが好きだから婚約をしているの」
そう言いハルリアは、心にもない嘘をついた。
「それは本心なの?」
「勿論ですわ。好きでなければ、ワタシはカールと婚約していません」
「そうなのね。じゃあ、もしカールディグス先生を抜きに考えたとしたら?」
そうセリアーナに言われハルリアは、首を横に振る。
「それでもマルルを、男性としてみることはできないと思います」
「なぜですの?」
「シャルル……ワタシはマルルと会って、そんなに会話もしていないわ」
そう言いハルリアは、セリアーナとシャルルカーナを順にみた。
「それならば、これから話せばいいんじゃないのかな?」
そうセリアーナに言われハルリアは、ハァーっと溜息をつく。
「ワタシはカール一筋なのです。ですので、他の男性を好きになることはありません」
「ハルリア、それは本心なのですか?」
「ええ、シャルル……ワタシはカールが好き。カールも、ワタシを好きって言ってくれた……だから婚約をしたのです」
そう言いハルリアは、ニコリと笑みを浮かべる。……名演技だ。
「そうかぁ……そんなにも、愛してるのですね」
そうシャルルに言われハルリアは、コクリと頷いた。
「ええ、そうね。ですが、マルルのことは……友人としてなら好きですわよ」
それを聞きセリアーナとシャルルカーナは、頷き笑みを浮かべる。
そしてその後三人は、別の話題に切り替え時間までここにいたのだった。
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