向かう者と残る者たちとスタンプカードと

 ここはカンロギの町の倉庫内。

 あれからティオル、ルミカ、メイミル、パルキア、セリアーナ、マルルゼノファ、シャルルカーナ達は学園長の指示を待っていた。

 するとティオルの目の前に魔法陣が展開され便箋が現れる。


「……来たみたいですね」


 そう言いティオルは便箋に書かれている内容に目を通した。

 ルミカ達六人は、その様子をみている。

 読み終えるとティオルは口を開いた。


「ダギル学園長の判断では……私一人で、ハルリアとカールディグスを追えとのことです」

「待ってください!」

「マルル、待って! これは学園長の判断よ。あとはティオルさんに任せましょう」


 そうセリアーナに止められマルルゼノファは悔しく思い顔をしかめる。


「……ティオルさん。間違いなくハルリアさんを連れ戻してきてください。もしハルリアさんに何かあったら俺は貴方に何をするか分かりません」


 そう言いマルルゼノファはティオルを睨んだ。


「クスッ……そうですね。無傷で連れ戻してきますよ」


 ティオルはそう言い真剣な顔でマルルゼノファを見据える。


(隊長は男にもモテるのですね。ですが……元の姿に戻ったらどうなるのでしょうか。想像するだけで笑えるのですが……)


 そう思いティオルは笑いを堪えていた。


「ティオル様、私たちは一晩この町に泊まります。その後、明日の朝には発ちたいのですが」

「ルミカ、それでいいでしょう。それと拘束している三人をお願いします」


 それを聞きルミカ達六人は頷きティオルをみる。


「では私は急ぎ追いたいと思いますので一度、宿にもどります。ですので……あなた達は旅立つまでの間、交代で見張っていてください」

「ああ、二人組で交代でみる……それでいいよな?」

「パルキア先生、それでいいと思いますわ」


 そう返答するとシャルルカーナは、ニコリと笑みを浮かべた。


「じゃあ私は行きます」


 そう言いティオルは倉庫の出入口へ向かい歩き始める。

 それを確認するとルミカ達六人は、どのように組み分けするか話し合った。

 その結果パルキアとマルルゼノファ、ルミカとシャルルカーナ、メイミルとセリアーナのように組み分けがされる。

 意外とアッサリ決まった。これが無難だと思ったのだろう。


「最初はオレとマルルとで見張りをする」

「分かったわ。私たち四人は宿の手配をしてくるわね」


 そうルミカが言うとパルキアとマルルゼノファは頷いた。

 それをみてルミカ達四人は荷物を持ち倉庫を出て宿へと向かう。

 パルキアとマルルゼノファは、それを確認したあと話をしながら捕虜の見張りをする。



 ――場所は移り、ベバルギの町――


 ここは宿屋のカデリウスの部屋だ。

 この場所には、ハルキュアとカデリウスとピュアルがいる。


 あれから三人は予定数以上のリュキュナストーンを取って来たため他の依頼にまわしてもらった。

 そのためスタンプカードをもらい印を押してもらう。

 そう依頼を熟したあとでないとスタンプカードはもらえないのだ。登録だけの者も中には居るからである。


 そしてハルキュアとカデリウスとピュアルは現在、目の前のテーブルに自分たちのスタンプカードを置き話しをしていた。


「スタンプカードか……一つのランクを上げるには全部で印が千個……(汗)」

「ですね。現在、僕たちは五個です。これは、かなり長期戦になりそうですよ」

「ボクハ……ベツニ……ジカンガ、カカッテモ……ダイジョウブダヨ」


 それを聞きハルキュアとカデリウスは、コクッと頷き笑みを浮かべる。


「そうだな。今日ギルドで聞いてきた内容だと依頼は、いくつでも受けていいらしい」

「ええ、そうですね。じゃあ……その日にやれるだけの依頼を纏めて熟せばいいってことです」

「そういう事だ。とりあえずは、なるべく早く……ある程度のランクまで上げないとな」


 それを聞きカデリウスとピュアルは頷いた。


「今日は時間が然程ない。明日からやる……忙しくなるぞ」


 そう言いハルキュアは、ニカッと笑みを浮かべる。

 そしてその後も三人は今後のことを話していたのだった。

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