今後の確認と書類をみて

 ここはリュコノグルの城下町。そして宿屋の部屋だ。

 あれからハルリア達四人は、門前の広い場所で話したあとこの場を離れる。その後この宿屋にきた。

 因みにハルリアとカールディグスは別で、ルミカとメイミルが同じ部屋である。色々な理由で三部屋に分けたのだ。


 そして現在、四人はハルリアの部屋で話をしている。


「さて、とりあえず受付は済んだ。あとは……試験か」

「そうですね……師匠は明日、大丈夫ですか?」

「ルミカ……まぁ、なんとかなるだろう」


 そう言いハルリアは、ニヤリと口角を上げ笑った。


「何も起きなければ、良いのですが。それはそうと、明日は何をやるんですか?」


 カールディグスは気になりそう問いかける。


「んー……渡された紙には、ペーパーテストと女性のみ礼儀作法の試験って書かれてる。実技は、一日あけてからみてぇだな」

「そうなんだね。アタシ達は、明後日だけみたいだよ」

「メイミル、一日で済むのか?」


 そうハルリアが聞くと三人は頷いた。


「私たちは、ペーパーテストと面接のみらしいです」


 ルミカがそう言うとハルリアは首を傾げる。


「……なんで候補生の試験には、面接がねぇんだ?」

「そういえば、そうですね。必要ないという事なのでしょうか」

「ルミカ、そうかもしれない。ただ気になるのは……この中途半端なこの時期に、なんで生徒と教師の募集をしたのかです」


 そうカールディグスが言うと三人は、難しい顔になり考え始めた。


「……カール様の言う通り、なんでなのでしょうか。それも師匠が……あっ! まさか……」

「そのまさかかもしれませんよ。ハルリオン様が居なくなったため、その補強と捜索隊を」

「オレを探すためか。それと……なるほどな。うむ、そうだとしてもだ……オレが居なくてもやっていけると思うんだが」


 ハルリアにそう言われ三人は、呆れ顔になり溜息をつく。


「師匠、自分の立場って自覚してませんよね?」


 そうルミカに問われハルリアは、不思議に思い首を傾げた。


「立場か……オレは有名になりたくて、強くなったんじゃねぇ。ただ……あーまぁ、多少はあったかもしれねぇけどな」

「でしょうね……ハルリオン様は、いつも人のために必死ですので」


 カールディグスにそう言われハルリアは恥ずかしくなり、いつになく照れてしまい頬を赤らめる。

 その後、四人は更にこれからのことを話し合っていた。


 ★☆★☆★☆


 場所は変わり、王立騎士養成学園の学園長室。そこには、三人の男性と一人の女性がいる。

 その中にこの学園の教師ロイノビがいた。

 ロイノビを含んだ四人は、長方形のテーブルを挟み書類をみながら会話をしている。


「ほう、教師の方には……兵団第一部隊の者が三人も来ているな」


 そう言い白髪まじりで金髪の男性は、ルミカとカールディグスとメイミルの書類を交互にみた。


 この男性はダギル・ヴィムデ、五十二歳、学園長である。


 それを聞きロイノビは、コクリと頷いた。


「はい、学園長。前に話したあの者も来ております」

「そういえば、前にそんなことを言っていたな」


 そう言いながらダギル学園長は、ハルリアの書類を探し始めた。


「この書類です」


 ロイノビが既にみつけていたらしく、ハルリアの書類を手にしている。それをダギル学園長に渡した。

 その書類を受け取るとダギル学園長は隅々までみる。


「……これは面白い。あのハルリオンが、師匠とはな。これが本当ならば、かなり期待できる」

「それに、教師の試験を受けに来た者の中には……兵団第一部隊の副隊長も居ますので」


 それを聞きダギル学園長は、カールディグスの書類に目線を向けた。


「なるほど……確か、ハルリオンの弟子だったはず。そうなるとあとの二人も……」

「弟子だと思われます」

「教師の試験に実技がないのは残念だ。実力をみたかったが」


 そう言うとダギル学園長は、残念な表情を浮かべる。


「そういえば学園長は、ハルリオン様のことを知っているのですよね」

「ああ、昔のアイツをな。部下だったが……私よりも、有名人になりおった」

「では、このハルリアの師匠がハルリオン様なのか分かりますね」


 そうロイノビが言うとダギル学園長は頷いた。


「それなら実技の試験の時には……」

「ロイノビ、勿論……見学するつもりだ」


 そう言いダギル学園長は、口角を上げ笑みを浮かべる。

 そしてその後ロイノビにダギル学園長とあとの二人で、他の書類にも目を通していたのだった。

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