敵国の動きに気づく

 ここはカールディグスとハルリアの屋敷。辺りは既に暗くなっていた。

 この屋敷の客間には、ハルリアとルミカとカールディグスとメイミルとパルキアがいる。

 あれからハルリアは、パルキアの話が終えると必要な書類や教材を渡された。そのあと教室を出て、セリアーナとマルルゼノファとシャルルカーナと中庭で話をする。

 それから話を終えるとハルリア達は、途中まで一緒に帰った。


 そして現在ハルリアは、ムスッとした顔でパルキアをみている。


「おい、これはどういう事だ?」

「あーえっと……隊長、もしかして怒ってる?」

「パルキア……ああ、勿論だ。任務の方は、どうなってるんだ」


 そう言いハルリアは、パルキアを見据えた。


「はい、そのことなんですが……隊長のことを探っている者をみかけました」

「オレのことをか……だが、この国でオレを探している者は珍しくないはずだ」

「それが、少しおかしいんです。隊長の生死について聞きまわっていたので、変だと思いあとをつけたのですが……途中の路地で忽然と消えた」


 それを聞きハルリアは、どういう事だと思い考える。


「確かに変だな……それは、どこでみかけた?」

「マールエメスとの国境付近にあるデルベスジアの町です」

「そういえば、カザビアの町もマールエメスとの国境沿いにあったな」


 そう言いハルリアは、真剣な表情で一点をみつめた。


「ええ、それにマールエメスは侵略国家です」

「ルミカ、そうなると……嫌な予感しかしねぇ」

「ですね。これは、あくまで推測ですが。ガザビアであったあの女は、最初から隊長を殺すのが目的だったとしたら」


 カールディグスはそう言いハルリアをみる。


「それは十分あり得るな。だが、オレに渡した魔道具は……」

「師匠を少女にしてしまった……でも、なんでそうなったのかな?」


 そう言いメイミルは、不思議に思い首を傾げた。


「さあな……そこまでは分からん」

「そうですね。そうなると……まだ隊長が、少女になっているって気づいていない」

「カール、そうだろうな。だが、生死を確認しているってことは……」


 それを聞き四人は頷く。


「恐らく、隊長が行方不明と云う噂のせいだと思う」

「ああ……パルキア、そうなると……その間はマールエメスが攻めてこない」

「師匠、でもそれだと……何れバレちゃうんじゃないかな」


 そう言われハルリアは、ジーっとメイミルをみる。


「明日、雨にならないよな?」

「そうですね。メイミルが、真面なことをいいましたので……天気悪くなるかも」

「ちょ……師匠に、カール様っ! アタシだって、真面なことぐらい言うんだからね」


 そう言うとメイミルは、プクッと頬を膨らませた。


「そうだな……でも、確かにメイミルの言う通りだ。油断はできない……」

「隊長、そうですね。一応このことを、学園長に伝えておいた方がいいかと」


 カールディグスに言われハルリアは、コクッと頷く。


「それがいいだろう。それはそうと……パルキア、話は逸れたが……理由を聞かねぇとな」


 そう言いハルリアは、ジト目でパルキアをみる。

 そしてその後パルキアは、ハルリア達に散々問い詰められたのだった。

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