魔術系の試験②

 ハルリアは立ち位置に居て、対戦相手の男性を見据えている。

 片や対戦相手の男性は、ハルリアを舐めるようにみていた。

 その男性は、かなりのイケメンである。そして、毛先が緑色の金色で天然パーマのショートヘアだ。


(また男か……んー、意図的にやってないか? 剣術の方ならできるが、流石にこっちは急だから無理だ。まぁ……いいか。その方が面白れぇしな)


 そう思いながらハルリアは、対戦相手の男性をみる。


「これは可愛らしいお嬢さんだ。こんな方と対戦ができるなんて……ああ、なんて素敵なご褒美なんでしょう」


 そう言い対戦相手の男性は、清々しい笑顔でハルリアをみた。

 それを聞きハルリアは、心の中で吐いている。


(大丈夫か……コイツ。早く終わって帰りてぇよー)


 そう考えていると開始の合図が聞こえて来てハルリアは身構えた。その後、両手を目の前に翳す。

 対戦相手の男性も目の前に両手を翳している。


 《氷結晶-氷の鎖よ 対象者の脚を凍らせろ!!》


 そうハルリアは詠唱した。


 《炎塊-炎の弾丸よ 対象者へ集中攻撃をしろ!!》


 そう対戦相手の男性は唱える。

 それを聞いたハルリアは、まずいと思い警戒した。

 対戦相手の男性はハルリアの詠唱を聞き、ニヤリと笑みを浮かべる。

 その後、対戦相手の男性の真下に魔法陣が現れ発光した。すると、そこから無数の氷の鎖が現れる。だが、既にそこに対戦相手の男性はおらず後ろに退いていた。

 一方ハルリアは眼前に炎の塊が無数に現れて、咄嗟に両手を向ける。


 《聖壁-光の壁よ 対象物の攻撃を防げ!!》


 そうハルリアは唱えた。すると、目の前に魔法陣が展開して光の壁が現れる。その光の壁は移動して、ハルリアに向かいくる炎の塊を全て消滅させた。


「これは、面白い! 見た目とは違い……中々やるじゃないですか。それも……氷の属性魔法だけじゃなくて聖光もとは……ああ、口説きたくなってきました」


 それを聞いたハルリアは、ゾッとし身震いする。


(いやいやいや……駄目だコイツは……。一瞬でも見込みがあると思って損した)


 そう考えるとハルリアは身構えた。

 対戦相手の男性は既に攻撃体勢に入っている。


「さて、これで終わらせますよ。まさか、ここで使うことになるとは思いませんでしたが。あ、そうそう……死なないでくださいね」


 そう言い対戦相手の男性は両手を上に掲げた。

 ハルリアはその言葉を聞くも無視する。


(勝手に言ってろ……いい加減に終いにするか。ここに居たくねぇし……)


 そう思いながらハルリアは、目の前に両手を翳した。


 《聖雷-聖なる雷鳴よ 対象者に裁きを!!》


 そうハルリアは詠唱する。それと同時に、両手を対戦相手の頭上に向けた。すると対戦相手の男性の頭上に魔法陣が現れる。

 それと同じく対戦相手の男性も詠唱をしていた。


 《炎渦-炎の渦よ 対象者を覆い尽くせ!!》


 対戦相手の男性は、そう言い放ち掲げている両手をハルリアに向ける。するとハルリアの頭上に魔法陣が現れた。

 その詠唱は、両者共にほぼ同時である。


「「攻撃!!」」


 そして二人同時に、左手を下ろし相手を指差した。

 すると、ハルリアの頭上の魔法陣から炎の渦が現れる。それは、螺旋を描きながら大きくなり降下していた。

 一方……対戦相手の男性の頭上にある魔法陣からは稲光が発生している。

 ……っと放たれた魔法は、ほぼ同時だ。しかしハルリアの放った魔法の雷の方が、一瞬早く対戦相手の男性の斜め上に掲げていた右手に直撃した。そして、そのままバタンと倒れ気絶する。

 片や対戦相手が放った炎の渦は、ハルリアを襲ったかにみえた。だが、咄嗟に放った聖壁の魔法により攻撃を防いだ。そのため無傷である。

 それをみていた審判の教師は、三番が勝利と叫んだ。

 それを聞きハルリアは、スッキリした満面の笑顔で思いっきり両手を掲げる。


「あー、スッキリしたっ!」


 そう言いハルリアは退場した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る