概要
百鬼百邪が蔓延る世界を、日常的に見て小慣れてはいたものの、人の顔にまでそれが浮き出る。
人の顔は黒い靄とそれを喰む蟲達で覆われて表情は殆ど皆無であった。
だがまあ、それは大した問題ではなかった、本当の悩みそれはーー
それは、皇帝の妻達の顔は黒い蟲達によって隔たれている事であった。
どれだけそれが美しい女であると言われたところで。
その肢体がいかに艶かしい姿であると言われても。
面と向かって茶を飲みご機嫌取りこそすれ、蟲に埋もれた女など手が出ない。
更には体がずんと重い日があったり、朝起き上がるのに一苦労するほどに疲弊する日まである。
官吏達も、舜の不調を知っているからか、世継ぎ心配こそすれ下手に口にはしなかった。
だがそ
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!王への敬愛と恋情を抱き一族の王族への責務を果たし王の皇后となる後宮譚
父親である先王を間接的に死亡させ、父親の死が異母兄やその母親の死亡へと誘ったことに懺悔と、皇后の不貞の子供の死亡の悲しさから生まれた禍を体内に宿す王の苦境を救うべく、一族の生業である、禍を祓うことで王族をお助けするという宿命と、王への敬愛と実際謁見してからの王への恋情を抱きながら、後宮内に蔓延る禍を祓い、王の禍を祓い、終いには、実子を亡くした悲しみと、その子が不貞の上で生まれた後ろめたさから生まれた皇后の禍を祓ったヒロインが、王からの求愛を受け皇后になっていく物語に、ヒロインの一途さに心惹かれました。
敢えて希望を申すなら、他の妃嬪からのやっかみや嫉妬の場面があってもよかったのではと思います。 - ★★★ Excellent!!!怖さに勝る、『キュン』です☆
『蟲が……』『虫が……!』
X(旧Twitter)で見かけた、こちらの作品に関するポスト。
『虫がたくさん出てくる、中華ファンタジー(ホラー)作品』という印象が、強く心に残りました。
虫もホラーも苦手な私ですが、作者様の他作品がとても素敵でしたので、恐る恐る拝読。
確かに虫(蟲)は、お話のキーポイント。
でもそれを上回る、『胸キュン』が待っていました!
皇帝陛下、舜様の恋……余りの可愛いさに、読みながらジタバタ☆
恋のお相手も凛として、とても魅力的です。
もちろん他にも、蟲や呪いに関する謎、浄化の儀式の美しさと禍々しさ、舜様のとある決意等……作者様の掌で、コロコロ転がされる楽しさが、ギ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!すごい世界観の中華ファンタジー! 妖艶でカッコイイヒロインです♡
(((o(*゚▽゚*)o)))面白い物語を読んだので紹介します☆彡
豪華絢爛な後宮が舞台ですが、どこか仄暗い雰囲気です。
皇帝の姫舜は、特異な眼を持っています。
それは、人々や妻たちの顔が真っ黒な蟲に覆われて見えるのです。
実は、わたしは蟲が嫌いです(><)羽虫とか特に。なのに清々しいほど禍々しく恐ろしくおどろおどろしい描写に恐怖を感じ、細目で速読しました(笑)
はい。それぐらいすごい筆力でしたよ。
しかし蟲嫌いな方もここで読むのをやめないで‼ これはただの蟲が蠢く物語ではないのです。
皇帝が悩んでいるところに、禍祓いの一族 、姚家が現れます。美麗で妖艶でカッコイイ主人公の流麗です。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恋が時代を変える、そのために必要な圧巻の第一章。
剋帝姫舜には秘めたる禍がある。彼の妻たちが暮らす後宮にも――。
蔓延った禍に吸い寄せられたおぞましい蟲たちによって、舜には妻の顔が見えない。妻だけでなく部下や信頼のおける侍医すらも。それは舜を孤独に追いやるには十分な怪異だった。
満身創痍の舜の元を訪れたのは禍祓いの一族である姚流麗。男装じみた服装やすらりとした体躯、そして特徴的な白い仮面。その下に隠された美貌と敬意を超えた献身に、舜はみるみるうちに惹き込まれていく。
やがて後宮の姫たちを差し置いて舜の褥に呼ばれる流麗は皇帝を唆した毒婦と呼ばれるようになるのだが、真実は二人しか知るところではない。この物語は、愛の毒に魅了された二人の邂逅を綴る…続きを読む - ★★★ Excellent!!!こんな中華エンタメを読みたかった!
私は作者様の既作『祝融の炎』ファンなのですが。今回も、負けずとも劣らずの面白さでした。
『祝融の炎』から世界観を流用しつつ、初見の方にもきちんと伝わる丁寧な世界観描写が見事です。
美しい禍祓いの姚流麗、そしてどこか可愛らしい陛下。
二人を中心に物語は進行していきます。
凜とした流麗。所作の全てが美しいのです。
陛下の視点で描かれる事が多いゆえか、見ているこちらが溜め息を漏らしてしまうほど美麗です。
仄暗い雰囲気は、どこかコミカルな会話劇が払拭していきます。
ラストの熱い抱擁も含め、まるで映像が目に浮かぶかのよう。
エンタメとしてもしっかり見せてくる骨太な作品。
素敵な作品に巡り会…続きを読む - ★★★ Excellent!!!後宮を乱した毒婦。その正体は――――?
※第一章二十五話まで読んでの感想となります※
序、の冒頭の印象は、後宮を乱した"毒婦"という表現、後宮の中で皇帝から寵愛を受けた「女」とあったので、妃ではない?では娼婦とか、妾とか?それとも幼い頃から好いた女?とか、疑問が残ります。
物語を追って行くと、皇帝の剋帝姫舜、舜は、特異な"眼"を持っていて、百鬼百邪が蔓延る世界を日常的に見ていた、ということがわかります。
人の顔にまでそれが浮き出て見え、彼の妻達の顔が黒い蟲達によって隔たれている事も判明するのです。
そのような悍ましいモノに覆われている妻たちを心から愛せるわけもなく、更には体がずんと重い日があったり、朝起き上がるのに一苦…続きを読む - ★★★ Excellent!!!因縁の禍を払うは、血か毒か、それとも恋か
皇帝舜は、後宮に居る妻たちの顔を見ることができない。
なぜなら、彼女たちが真っ黒な蟲に覆われているからだ。
――文字だけでもそら恐ろしいのに、浄化の儀は本当におぞましい光景がまざまざと目に浮かぶ。作者様のその描写、筆力がまた、恐ろしい。
ところが、嫌悪するなかれ。
それらを上回る、流麗の妖艶さ、舜の意外な初心さ、そして過去に起きたこの『原因』への好奇心から目が離すことができない。
後宮独特の妻たちの権力争いシーソーもさることながら、心を寄せていく皇帝と流麗の関係も、危うく甘美で、どんどん惹きこまれていく。
特に第一章ラストのふたりは……ここに書けないのが残念だが、本当に熱く、運命の恋…続きを読む