後宮を乱した毒婦。その正体は――――?


※第一章二十五話まで読んでの感想となります※


序、の冒頭の印象は、後宮を乱した"毒婦"という表現、後宮の中で皇帝から寵愛を受けた「女」とあったので、妃ではない?では娼婦とか、妾とか?それとも幼い頃から好いた女?とか、疑問が残ります。

物語を追って行くと、皇帝の剋帝姫舜、舜は、特異な"眼"を持っていて、百鬼百邪が蔓延る世界を日常的に見ていた、ということがわかります。

人の顔にまでそれが浮き出て見え、彼の妻達の顔が黒い蟲達によって隔たれている事も判明するのです。

そのような悍ましいモノに覆われている妻たちを心から愛せるわけもなく、更には体がずんと重い日があったり、朝起き上がるのに一苦労するほどに疲弊するという体調的な不調にも悩まされる。

そんな中、侍医がとある提案をする。

姚家。禍祓いの一族。
翌日、現れた白い面を着けた女。彼女の顔には黒い靄も黒い蟲も何もない。
やがて舜は、その女、姚流麗に心惹かれていくのだった――――。


妻の顔に黒い靄や蟲というのに対して、なにもない、つまり普通の状態である姚流麗。皇帝が冒頭のように彼女を愛するまでの物語は、甘美。しかしやはり後宮ものであることから、過去の参事が原因というのも面白い。

禍祓いの一族である姚流麗の雰囲気も好きで、最初こそ義務的な感じでしたが、心が通じ合っていくにつれ、氷が解けていくような変化も良いのです。

第一章ということですが、ここまででもかなり重厚で濃厚なお話なので、この続きは一体どんなお話になるのか、まったく予想ができません。
しかしながら、作者さまが得意な中華ファンタジーとあって、本格的な内容であることは間違いなし!

その文章力の高さは勉強になりますし、物語の構成も流石と言えるでしょう。

中華風、中華、後宮ものが好きな方には、間違いなく刺さる作品。
また、中華あんまり読んだことない、という方も最初の作品として手に取ってみても面白いかもしれませんよ?

おススメの作品です!


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