毒婦、けれどその恋は……。

『毒婦』に惹かれて読み始めると、冒頭で一気に引き込まれました。
皇帝、剋帝姫舜に言い寄る女。そうイメージすると思います。
何せ『毒婦』ですから。

黒い靄と蟲たちに覆われて、人の顔が見えない舜。
しかしそれは、舜にしか分からない現象だった。
侍医である隋徳は打開策として、ある存在を皇宮に招く。
禍祓いの一族、姚流麗である。

この作品の魅力は世界観、そこから醸し出す重圧感と艶めかしさ。
けれど私は敢えて、舜の恋心を推したいと思います。
淡々と流れるお話に、時々顔を見せる、可愛らしい舜の一面。
皇帝もまた、一人の人間であり、理解者に惹かれていく過程が何とも言えません。
同じ世界が見えるもの出会えた喜びは、ひとしおですから。

その相手である女性がどんな人物なのか。
読んで確かめて見てください。

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