因縁の禍を払うは、血か毒か、それとも恋か

皇帝舜は、後宮に居る妻たちの顔を見ることができない。
なぜなら、彼女たちが真っ黒な蟲に覆われているからだ。
――文字だけでもそら恐ろしいのに、浄化の儀は本当におぞましい光景がまざまざと目に浮かぶ。作者様のその描写、筆力がまた、恐ろしい。

ところが、嫌悪するなかれ。

それらを上回る、流麗の妖艶さ、舜の意外な初心さ、そして過去に起きたこの『原因』への好奇心から目が離すことができない。

後宮独特の妻たちの権力争いシーソーもさることながら、心を寄せていく皇帝と流麗の関係も、危うく甘美で、どんどん惹きこまれていく。

特に第一章ラストのふたりは……ここに書けないのが残念だが、本当に熱く、運命の恋とはこういうものか、と感じられるだろう。

ダークな世界観や中華後宮がお好きなら、是非お読みいただきたい。オススメです!

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