共喰いの船 voyage de nuit

作者 三寿木 春

20

7人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

主要人物が大変な美形揃いで、各々が各分野における天才的な技能を持っているため、あっという間に物語に引き込まれます!主要キャラ10人ですが、外見、スキルなどが非常に巧みに描かれているため、混乱しません。

隔離された船が舞台になったクローズドサークルものですが、ある要素のおかげでその緊迫感はかなりのもの。専門的な内容もありますが、登場人物の職業的背景から会話に自然に組み込まれており、読みやすさと読みごたえが両立しています。

とにかくキャラクター造形が素晴らしく、皆生き延びてー、と祈る気持ちに。

是非ご一読を!お勧め致します!

★★★ Excellent!!!

※追記)ネタバレはありませんが、真っ白の状態で読みたい方は読了後推奨


 デスゲームの古典といえばアガサクリスティ「そして誰もいなくなった」だろう。
 孤島に集められた成年の男女が、マザーグースの童謡「Ten Little Indians」の歌詞にそって、ひとりひとり死んでいく。
 こちらでは孤島ではなくクルーズ船に集められている。
 船は二隻ある。

 集められた十人はみな、父親が共通だ。父親の名は和邇士郎。
 遺伝子操作された優秀な子どもたち。
 巨大基幹産業企業SANDORAの後継者になるのはそのうちの一人でよいという。

 海上の密室、豪華客船に集められた少年少女。
 憶えるのが大変そうに想えるが、こういう時にはごく簡単でいいのでメモを取りながら読むと、全員あたまに入る。
 わたしのメモはこんな感じ。

 (メモ)
 白石=イケメン。翠が好き。
 翠=超絶美少女。
 石黒=スパイ。メガネで背が高い。翠が好き。

 赤城=マフィア。ヤバイ。
 青山=がっちり体型エンジニア。
 美墨=赤城のお気に入り

 朱音=技術者
 草野、葵衣=飛び級医大生
 茉白=プラチナブロンド

 そして消えた人間には印をつけるか線を引いていく。
 作者さまには申し訳ないような適当なメモだが、登場人物を一度自分の頭に落とし込むことで、それだけでストーリーはすいすい頭に入る。


 彼らは全員、厄介なウイルスに感染しており、仲間の血をすすり、数日後には互いの肉を喰らわねばならない運命にある。
 船内研究室でのワクチンの開発が早いか、食人鬼化するのが先か。
 総勢十人。彼らがいるのは左の船だ。
 では右の船には……?


 Who caught his blood?
 I, said the Fish,
 with my little dish,
 I caught his blood.

続きを読む