☆エピローグ 冬の足音☆


『オジサン、見えてますか~♡』

「うん。よく燃えているね♪」


 亜栖羽との学園祭デートを楽しんだ後、モンスターガール喫茶の接客がまた亜栖羽にも廻って来るので、育郎は退散をした。

「それじゃあ、学園祭 楽しんでね」

「は~い♪ 後で お電話しま~す♡」

 育郎としては、邪魔にならないようにモンスターガール喫茶の隅っこにでも正座をして、ドラキュラ亜栖羽の接客を鑑賞していたかったけれど、当たり前に無理。

 亜栖羽を教室まで送った後、ミッキー嬢たちから、モンスターガール喫茶のチラ紙を自ら受け取り、正門まで宣伝をして歩いた。

「わぁ~、フランケンシュタインの着ぐるみだ~♪」

「見てパパ~っ、僕も、きっさてん~っ!」

 と、宣伝効果はバッチリだったらしい。

 帰宅をして午後六時を過ぎた頃、亜栖羽から電話を貰って、宣伝の労いなども貰った。


 今スマフォの画面には、学園祭の最期のイベントである大きなキャンプファイヤーが、赤々と映っている。

 校庭の真ん中で催されているキャンプファイヤーは、学校関係者のみの参加で、これが終わると学園祭も終了というイベントだと、青年も聞いていた。

『オジサンと一緒に、囲みたかったですね~』

 亜栖羽はちょっと残念そうだ。

「そうだね。またキャンプへ行った時とか 焚火で料理、してみようか」

『わぁ~、楽しみです~♪』

 横位置の画面には、キャンプファイヤーと亜栖羽が映っている。

 周囲の女子たちも映っているけれど、亜栖羽と二人の静かなキャンプファイヤー気分。

 亜栖羽もみんなも、コスプレを解いて、片付けの為のジャージ姿だったり。

「こういうのも、良いよねぇ…♡」

 なんだか、シットリと落ち着いた気分だ。

『あら…亜栖羽さん、もしや ふっ様と…♡』

『えへへ~♪』

『あ~っ、GOさんっスか~? イェ~イっ!』

 画面に、桃嬢とミッキー嬢が映り込んで、急にニギヤカとなる。

『あれ、亜栖羽 誰かと通話~?』

『え~誰だれ? あっ、喫茶店 手伝ってくれた人だ~!』

『まだ コスプレしてるんですか~?』

 とか、亜栖羽のクラスメイトたちが、楽しそうに話しかけてきた。

「え、あ、えぇと…」

 女子高校生たちの明るい圧に、二十九歳の巨漢は、アワアワしてしまう。

『あ、今日は ありがとうございました~♪』

『亜栖羽ちゃんの、叔父さんなんですか~?』

 帰りの宣伝のお礼とかでワイワイもしてて、女性慣れをしていない育郎には情報量が多すぎて、どうして良いのか解らなくなってしまった。

『も~、オジサン困ってるから~☆ それじゃ~、また後で お電話します~♡』

「あ、うん。それじゃあ また」

 亜栖羽のウインクで、通話が終わる。

「ふふ…楽しそうだなぁ…♪」

 育郎が学生だった頃、文化祭が終わると、秋も終わりを迎える感じがした。

「もう冬になるのかぁ…」

 恋人と過ごす初めての冬を想い、ベランダで少し寒くなり始めた透き通る星空を見上げながら、育郎の心は温かかった。


                    ~エピローグ 終わり~

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好きじゃなくって愛してる! ~秋本番編!~ 八乃前 陣 @lacoon

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