華月堂の司書女官　～消えた『宝玉真贋図譜』と凛冬殿の麗人～

七夕も終わり、秋の気配が漂う宝珠皇宮後宮。

後宮蔵書室・華月堂は、連日、混みあっていた。

春にがんばった模様替えや本の配達が功を奏したと喜ぶ花音だが、伯言の鬼上司っぷりは相変わらず。

そんなある日、花音は、『宝玉真贋図譜』という本が書架に見当たらないことに気付く。
それは、凛冬殿の女官たちに特に人気の高い本だった。
ほどなくして、その本は、思いもよらない場所で見つかる。
凛冬殿の若い女官、蘇奈が遺体で発見され、そのそばに、『宝玉真贋図譜』が落ちていたのだ。

蘇奈は、花音も馴染みの凛冬殿の女官三人組の一人


蘇奈は自死と思われたが、華月堂の本が現場に落ちていたことから、花音に容疑がかけられる。
「蠟蜂様の仇を討つ」と内侍省武官の冥渠に宣戦布告された花音。
「冤罪にされる前に自分でなん…続きを読む