5月第5週/6月第1週 武器調達と新梢誘引

『リヴァー ポイント ヴィンヤード ヴィオニエ

 2020

 ミルトン ヴィンヤーズ』


 前作から度々登場しているニュージーランドのビオディナミの先駆者である。

 ニュージーランドの中でも平均気温や湿度が高いギズボーンという地域で、オーガニックの最先端を40年に渡って実践し、成功している驚異的なワイナリーだ。


 今回はこちらの白ワイン、ヴィオニエを開けてみようと思う。


 グラスに注ぐとすぐに黄色味の強さから濃厚な白ワインだとわかる。

 香りには桃のような甘みを帯びた風味と道端の野花のような純朴な芳しさもある。

 味わいには熟した洋ナシの感じがあり、どこかスパイスっぽさがある。

 濃厚な味わいなのに後味はスッキリとしたハチミツのような爽やかさもあり、気持ちのよい一杯だ。


 一般的に出回る自然派ワインと呼ばれるモノは悪臭を強く感じるが、流石はミルトン、良いモノに仕上げてくる。


『八宝菜』


 肉も野菜もバランスよく食べられる中華料理、八宝菜にしようと思う。


 作り方はそれほど難しくはない。

 具材をザクザクとそれなりの大きさに切って炒める。

 それからレシピ通りに作ったを絡めるだけだ。


 今回のレシピは味の素の提供でした。

 https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/706049/


 さて、熱々のまま実食。


 ぷりっぷりの海老が口の中で踊る。

 豚肉や味のよく染み込んだ野菜がじゅわっと飲み込まれていく。

 八宝菜は実に具沢山、普段食べない具材たちが全身の血肉になってくれるように胃の中に落ち着く。

 

 何よりも、が美味い!


 うま味調味料だけではなく、具材の旨味も溶け込んでいるようだ。


 おっと、いかん。

 ワインと合わせねば。


 ワインと中華、こんな組み合わせが合うのだろうかと疑問に思う方が多いだろうが、このヴィオニエという品種とはよく合うと思う。


 濃厚な白ワインでありながら、独特な風味とスパイシーな味わいなため、旨味の爆発する八宝菜とも上手く噛み合う。

 ほんのりとした甘みもあるので、このと相性も良い。

 

 中国には独特で様々な味わいの紹興酒や多種多様な茶があるので、ワインと中華が合うことに何の不思議があるというのか。


 様々な条件の中で、自身の最適解を探す。

 これはどんな仕事にも共通することではないだろうかと思う。


☆☆☆


 前回は雨ニモマケズという脳筋作業からの農薬散布について語った。

 今週もまた厄介な天気だったと思う。

 5月に台風が発生し、各地で大荒れだったらしいがこちらはそれほどでもなく過ぎ去っていった。


 今週も色々とあった。


 まずは喜ばしいことに武器、小型の農機具たちがやっと届いたのだ!


 市の補助事業で約半額の支払いで買うことができるので、贅沢にマキタセットで。

 各武器たちは、使う時にでも紹介していこう。


 これでやらないといけない作業に色々と取り掛かることが出来るようになった。 

 まずは、試運転がてら空き地の畑の入り口の草刈りだ。

 マキタ製のダブルバッテリーの刈払機のお披露目となる。


 通常の混合油のエンジン式の刈払機に比べれば簡単でお手軽、バッテリーを装備するだけでスイッチオンとなる。

 静かで快適、ダブルバッテリーだからパワーもエンジン式とほぼ同等と謳っているだけはある。


 しかし、1時間ほどでバッテリー切れとなってしまった。

 が、バッテリーはもう一組あるので取り換えて作業続行。


 ふむ、2時間程度の試運転を兼ねた作業だったが充分に厄介な部分は終了、これで次の作業に入れる。


 翌朝、次はブドウ畑のある道路沿いの側溝周りの草刈りだ。

 この畑は乗用草刈機を借りて草刈りをしていたが、ブドウ棚の支柱のある狭い部分や乗り入れることのできない側溝沿いは草が伸び放題になっていたのだ。

 で、この辺りを刈り取る。


 これも2時間足らずで終了、これでスッキリとした。


 そして、今週のメインは新梢の誘引という作業になる。


 新梢、今年出てきた新しい枝のことだが、これらを棚の上に均等に配置していく作業、誘引を行った。

 全体の新梢も充分に伸びてきたし、根本も固まってきたので頃合いかなと思ったわけだ。


 この作業をすることで、陽の光を全体に当たるようにし、風通しも良くなる。

 ついでにいえば、均等に配置されれば農薬のかかりも良くなるということだ。

 この誘引が遅くなってしまうと、蔓植物というブドウの性質上、蔓が絡み合って非常に面倒くさいことになる。


 この作業、これが割と時間がかかる。

 僕の借り受けた畑は、長梢平棚栽培という仕立て方なので、新梢の配置をパズルのように組み立てなければならないからだ。


 実際のところ、一個一個の作業はそれほど大変ではない。

 伸びた新梢を倒して棚の上に結びつけるだけだ。

 

 やり方は簡単、マックスというホッチキスの会社が生産している誘引専用のテープナーでカチカチと止めていくだけだ。

 ただ数が多いのではあるが。


 この作業をひたすらやっていくわけだが、たまに根本がへし折れたりするのでイラッとするし、ずっと上を向いてるからなれないと首や肩が固まってくる。

 ついでに多すぎる箇所は削ることもある。

 で、苦労して止めても風や雨などの影響で翌朝来ると数本根本からへし折れている場合もある。


 そうした地道な作業の末、おっ立っていた新梢たちがペタリとキレイに寝ていると気分は爽快なのだ。

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