5月第1週 第1回目芽かき大会
『ウィマーラ シラーズ ヴィオニエ
2021
ローガン ワインズ』
オーストラリアの中でも冷涼な地域に属するニューサウスウェールズ州、オレンジ地区とマジー地区でワイン造りをしているワイナリーだ。
オレンジという町は農業が盛んだが、オレンジは作っていない。
このワインのウィマーラというシリーズだが、マジー地区とオレンジ地区のブドウを使用したアロマ豊かなワインがコンセプトのミドルクラスの価格帯らしい。
アボリジナル語で「絶景」という意味がある。
このワインは、赤ワイン品種のシラーズと白ワイン品種のヴィオニエを僅かながら混醸して造られる。
フランス・北ローヌでは伝統的に行われている。
では、早速開けてみよう。
グラスに注ぎ、エッジを透かしてみると淡いガーネット、香りにはベリー系の甘さと樽っぽさを感じる。
味わいにはシラーズらしいスパイス感があり、チェリーのように濃い果実の味わいが飲み心地を誘う。
グラスに注いで時間が経つとスミレっぽさが出てくる。
適度な濃さの味わいで、飲み口が優しい。
『鶏の唐揚げとサラダ』
どこでも食べることができ、居酒屋の定番メニューである唐揚げをワインと共にいただいてみよう。
鶏もも肉をざっくりとぶつ切りにして、しょうゆ、酒の代わりにワイン少々と おろししょうが 、 おろしにんにく、 こしょうを混ぜ合わせて下味をつける。
15分ほど漬け込んだままにして、衣の小麦粉と片栗粉をブレンド。
付け合せのサラダを刻んで皿に盛り付ける。
残った時間でワインの1杯目は終了。
味が染み込んだ頃合いに、油で揚げていく。
唐揚げというより竜田揚げみたいな見た目になったが、細かいことは気にしない。
レモンを少々振りかけ、完成だ。
味の方は、カリッとした表面と内側からジューシーな肉汁が溢れる。
うむ、見た目はともかく揚げ方は上手くできた。
レモンの酸味が味を引き締める。
少々味がうすいので塩を少々かけてやると絶品となった。
ワインと合わせるが、これは申し分ない。
じゅわっとする鶏肉とシラーズのジューシーな味わいとスパイスの風味がよく絡み合うのだ。
このワインは渋みが強くないので、淡白な鶏肉との相性も良い。
鳥のラベルなだけに。
☆☆☆
先週は草刈りの話をしたが、今週も色々とやった。
世間ではゴールデンウィークなのだが、そんなものは農奴には関係のない話だ。
地元ワイナリーへの出稼ぎは当然したのだが、ここでは語るようなことではない。
自分の領分について話をしようと思う。
まずは引っ越しの準備。
現在は町の中心部のアパート住まいであるが、そろそろ道具類が増えてくるので手狭になってしまうのだ。
農機具小屋付きの中古の一軒家を見に行ってきた。
この話は以前からあったが、ようやく話がまとまってきたので近日中に契約となるだろう。
他にも、新しい畑のブドウ棚資材の打ち合わせもした。
ちょっと特殊な仕立て方にするので、自作をするからだ。
資材業者の資材置き場で業者と一緒に試作品を作ってみた。
設計通り、悪くなさそうな出来栄えであったので一安心だ。
しかし、まだ時期尚早の話なので、これらの細かい話は後日語ろうと思う。
今回のメインの話は『芽かき』という作業についてだ。
ざっくりと説明すると、新芽の数を調整する作業のことである。
基本的にブドウの栽培は、新芽が出たからといって全てを残すわけではない。
全ての新芽を残してしまうと、樹の内部に蓄えられた養分が足りなくなって樹が弱ったり、畑が真っ暗になり日当たりや風通しが悪くなったりして、低品質化を招いたり病気の温床となるからだ。
つまり、樹の内部に蓄えられた養分をうまく使えるように調整したり、枝が増えすぎて棚面が暗くならないようにするなど、様々な意味のある重要な作業になる。
しかし、突風や遅霜などの予期せぬ自然現象で新芽がダメになったりすることもあるので、この作業を一度に完璧にやろうとするとリスクが大きい。
通常の場合、3回程に分けて行うのが理想的である。
今回は1回目なので、成長を見ながらある程度大雑把にやる方が良い。
この畑はまだクセもわからないので、教科書通りにやってみようと思う。
料理と同じように、初めての場合は下手にアレンジせずレシピ通りに行うことが肝心なのである。
さて、1回目の芽かきを開始しようと思う。
品種や場所、仕立て方で微妙に異なる場合があるが、時期は基本的に葉が2~3枚出てきた時に行う。
この時に取る芽は、不定芽(幹などの変なところから出てきた芽のこと)と副芽(1つの節から複数出ている芽の内、後から出てきた方の芽のこと)をメインに取っていく。
芽かきのメインは2回目になるので、今回はざっくりとサクサク進めていこう。
しかし、半分ほど残ったところで雨となってしまった。
影分身ができるぐらいの速度でやれれば間に合っただろうが、まだ人間をやめるわけにはいかない。
もっとも、まだ焦る必要はないので、雨上がりに残りを終わらせようと思う。
農業というやつは何事も天候に左右されるので、人間というヤツのちっぽけさを教えてくれる。
だが、それもまた一興なのである。
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