6月第5週/7月第1週 先人の知恵
『ボージョレ ヴィラージュ レーヌ デ フルール
2019
アンリ フェッシー』
フランスのボジョレー地区は、ガメイという赤ワイン用の品種で造られる新酒のヌーボーが有名だが、通常のワインも造られている。
同地区で高品質なワインを造り出すボジョレーのスペシャリストらしいので試してみた。
今回のワインは、上質なワインを造り出すフルーリー村にある樹齢50年以上の樹から造られているそうだ。
では、開けてみよう。
色合いには赤の中にやや褐色が混じってきている。
新酒とは違ってやや熟成され始めてきているのだろう。
香りにはボジョレーらしいベリー系の風味、味わいにも同様のベリー系の甘さを感じる。
ヌーボーのキャンディの甘さとは違い、落ち着いた大人の雰囲気が出ている。
『レバニラ炒め』
豚レバーはクセの強い臭みがあるが、タンパク質と鉄分が豊富なので滋養強壮に良いと言われている。
今回は簡単にレバニラ炒めでお手軽に作るとしよう。
作り方は実に単純明快、すでにスライスされているレバーを油で炒め、刻んだニラともやしを加えて更に炒める。
おろしニンニク、塩コショウ、醤油で味を整えれば簡単に完成だ。
そのまま食べるとレバーの臭みが気になるが、血肉が沸き立つのを感じる。
そして、ワインと合わせる。
これが意外にも実に良く合った。
熟成されたガメイやピノ・ノワールは、ジビエなどのクセのある肉と合うと言われているので、レバーでもどうだろうかと試してみたら正解だった。
レバーの臭みが見事に中和され、するりと喉を通っていく。
後味には、意外にも熟成されたボジョレーのベリー系の風味が心地よい。
レバーの臭みが旨みに変換されてくれたようだ。
これがワインと料理の組み合わせの面白いところだ。
厄介なことも良いことに転じることもある。
これもまた人生に通じるところがあると思う。
☆☆☆
前回は畑の開拓、特にユンボでの抜根について語った。
最後にもう一つのブドウ畑でやることを今回語ると予告していたと思う。
早速、予告どおりに語らせてもらうとしよう。
ブドウの成長も著しく、というよりも想定以上に元気が良すぎてブドウ棚が真っ暗になってしまっていた。
この状況をどうしようかな、と出稼ぎへ行きながら考えていた。
あれこれと考えながら夕方、日が暮れる前にブドウ畑へやってきて翌日からの作戦を考えていた。
すると、隣りの生食用ブドウの畑から元の所有者がトコトコでこちらに歩いてくるではないか。
「おう! 調子はどうだべ?」
「あ、はい、ボチボチです。ええと実は……」
僕はこれは実に良いタイミングだと挨拶もそこそこに、状況解決のためのアドバイスを聞いてみることにしてみた。
そうしたら、すぐに解決のためのアドバイスを貰うことができた。
元気の良い新しい枝は、成長が進んでくると葉っぱの横から脇毛みたいにさらに新しい枝(副梢と呼ばれる)を伸ばしてくることがある。
この副梢が伸び続けると余計な葉っぱが増えて棚面が真っ暗になってしまうのである。
で、暗くなった時の解決策はこの副梢を取り除けば良いのだ。
この副梢が大量に出てくる原因は、水分や土壌の栄養が豊富であったり、樹の勢いの強い品種だとよくあることだ。
他にも、冬の枝整理、剪定作業の時に強い枝を残しすぎたんじゃないか、ということだった。
実に有益なアドバイスを貰うことができた。
それもそのはずだろう。
元の所有者で、畑のお隣さんは地元の農業委員会の会長であり、地元の生産者組合の重鎮でもある。
後期高齢者になったから今年で引退らしいが、この畑の後継者がいなかったから僕に貸してくれるという話が回ってきたという事情があった。
「本当は息子にやってもらいたかったけんど、全くできんかったからなぁ」
という何度目かのボヤキを聞きつつ、次の作業や他にも聞きたかったアドバイスを無事にもらい、元の所有者は帰っていった。
そうと決まれば、早速作業開始だ。
だが、コレが意外にも時間がかかる。
日が暮れるまでの1時間程やってみたが、ほんのちょっとしか進まなかった。
翌日は、前話を書いた日であり、この副梢取りの作業を朝から晩までやっていたというわけだった。
それでも、畑の半分を少し過ぎた分しか終わらなかった。
それからも出稼ぎの空き時間や終わってからもやり、この作業は無事に終わった。
それからが実は大事な作業である。
ブドウの房の間引きや整理、摘房と呼ばれる作業を始めた。
ブドウの花が咲き終わると産毛みたいな花が落ち、徐々にブドウの粒が大きくなってくる。
それがやがて色が変わって熟していくのだが、今はまだ緑で固い状態だ。
この段階で房を整理し、美味く熟した良いブドウに仕上げていく準備になるのである。
房の整理前は、新しく出た枝に大体3つか4つ鈴なりに実がついた状態になっている。
このまま全部残したままでは、熟した良いブドウには全くならない。
そのため、房を2つまで減らし、さらに半分近くまで小さく切り揃えるのである。
何も知らなければもったいないと思うかもしれないが、これもまた良いワインにするために必要な作業だ。
もしここで、3つ付けたまままともに熟さなければ、成果は0なのだ。
こうして摘房作業を行うが、また梅雨が戻ってきたので天気と相談しながらの作業となった。
多少の雨ならば僕はやるし、ずぶ濡れになっても作業が間に合わないよりはマシだ。
適期に適した作業を速やかに行う。
間に合わなければ、最後の秋の収穫期に悲惨な目に遭う確率が跳ね上がるだけの話だ。
自分にムチを打って必死に今やるか、やらずにリスクを承知で後回しにするか?
どちらを選ぶかは人それぞれ自由だと思う。
僕ならば前者を選ぶ。
さて、本日7月2日、梅雨の晴れ間なので絶好の消毒日和、農薬撒いて汚物は消毒だ!
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