7月第6週/8月第1週 小休止

『チェックメイト

 NV

 カステリ』


 西オーストラリア州デンマークを拠点とするワイナリー、国のデンマークではない。

 南極海に面したグレートサザン地区は比較的冷涼な気候に属し、良質なブドウが育てられている。

 今回のワインは、ピノ・ノワールとシャルドネをシャンパーニュ方式で造っている。


 イタリア ラツィオ州の風情ある農村で育った、オーナーのカステリ・サムはブドウ畑でワイン造りへの情熱が生まれ、家族でワイナリーを所有するという夢を持ち、オーストラリアの地で実現させた。


 では、そんな祝福を早速開けてみよう。


 シャンパングラスに注ぐとキレイに泡が立ち上る。

 黄色の液体にスッキリとした酸味と清涼な炭酸で涼やかな喉越しを楽しむ。

 桃のような味わいとともにナッツのような香ばしさが心地よい。


『寿司(テイクアウェイ)』


 今回は自分で作ることなく、買ってきた寿司である。

 近所のスーパーで買ってきただけで、寿司屋でちゃんと握ってもらった訳では無い。

 その理由は後半で語るが、こういう時があっても良いだろう。


 味わいは特に新鮮さも無いが、悪くはない。

 お手軽に気軽に食べることができる、これで良い場合もあるのだ。

 付け合せの漬物もあっさり味で疲れた身体に程よく染み渡る。


 さて、ワインと合わせるがこれが悪くはない。

 辛口のスパークリングワインはまさに万能、色々な食事との相性が良い。

 発酵飲料であるワインと保存食の漬物、この組み合わせは意外と良いコンビになる。


 忙しく働いた後には、手抜きをしてホッと一息ついても良いじゃないかと思う。

 四六時中肩肘張っていないで、休める時には休むことも大事なのだ。


☆☆☆


 さて、前回の終わりに緑肥について語ると予告はしたが、今回は別の話にしようと思う。

 しかも、ワインとは特に関係のない話だ。

 

 今週の話だが、僕は引っ越しをした。

 畑により近い山の麓の集落にである。6月の第二週の話だったと思うが、ちらりと引っ越しをする予定であると公表していた。

 ついに現実に引っ越しを行った。

 農作業は小休止だ。


 どちらの畑も車で5分程、町のスーパーへも10分程度なので立地は悪くはないと思う。

 これまでの家賃と月額はほぼ変わらず、分割払いで所有権移転となる、ローンの中古住宅である。

 住居1棟、倉庫1棟という構成だ。


 割りと古いのでところどころ補修が必要だが、独りで住むにはかなり広い。

 むしろ一緒に住みたい人を大募集(笑)


 ここまでに畑仕事を炎天下でも休まずにやってきたので、引っ越しに集中することが出来た。

 これまでに使わない冬物や農機具を先に置かせてもらっていたので、一人で十分に運べる量であった。


 とはいえ、冷蔵庫や洗濯機が小さめとはいえ、一人で運ぶ時は大変だった。

 腰を壊さなくてよかったと思う。

 熱中症警戒アラートが出ている中、農作業並みに汗だくになりながら午前中には荷物を運び終わった。


 その後は、町に住んでいたアパートの引き払いの手続き、電気水道の手配は終わっていたので、ガスの手続きなどを行った。

 で、シャワーホースが壊れていたので、ホームセンターで買ってきて早速修理、ホースの取替だけなので簡単だ。


 荷物の整理をして、気がつけばいつの間にか日が暮れてしまっている。

 細かい荷物は終わらなかったが、最低限寝るところだけは確保だ。


 こうしてシャワーであるが、給湯器が灯油式なのでお湯になるまでに時間がかかる。

 のんびりと待ち、サッと汗を流してスッキリだ。


 こういうわけで、引っ越ししたばかりでまだコンロが使えない状態だったので、買ってきた寿司で引っ越し祝いを独りでやったわけだ。

 奇跡的に使えるエアコンが1台だけあったので、無事に夏を乗り越えることはできるだろう。

 

 気がつけば1日が過ぎ去っていった。


 その後は、転居による手続きを行った。

 それに伴う事務手続きで今週は過ぎ去ってしまった訳だった。


 荷物を運び込む前に、ご近所へのあいさつ回りを終え、引越し前に集落の役員たちへの謁見(笑)も済ませていたのでそれほど大変ではなかった。

 ただ、村八分にはされたくないなと思う所存である。


 変わらない田園風景の中にある村、ここらでワイナリーができればと穏やかに微睡む。


追伸

ブドウの実が色付いて来ました。

収穫が微かに見えてきましたね。

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