4月第4週 防除1回目
『ガトー・ネグロ メルロー
2021
サン・ペドロ』
南米チリに1865年に設立された大手ワイナリーである。
広大なブドウ畑と良質なブドウから最新設備と技術でワインが造られている。
黒猫のマークが可愛らしい。
今回はこちらのシリーズのメルローを開けてみようと思う。
明るいルビーの色合い、土のような匂いが鼻をついたが、すぐにベリー系の香りが出てきた。
渋みは控えめで滑らか、親しみやすいジューシーな味わいだ。
しかも、1000円以下というコスパに優れた一本だと思う。
これだけのワインがこの値段で造れるので、値段勝負をしたら勝ち目がないだろう。
『お好み焼き 豚玉』
色々と食材の在庫処分をしようとこんなお好み焼きになった。
だしと水を混ぜ合わせ、山芋の代わりに片栗粉を使い、小麦粉を投入して混ぜ合わせる。
その中に刻んだキャベツとネギも投入する。
フライパンに油を熱し、ちょうどよくなった頃に焼くだけだ。
下面を焼いているうちに豚スライスと刻んだ紅生姜を乗せ、下面に焦げ目がついた頃にひっくり返す。
後は火が通れば皿に守るだけだ。
お好み焼きソースとマヨネーズをたっぷりかければ完成だ。
お味の方は、片栗粉を代用したが十分にもっちりとしているので悪くはないかな。
甘めのソースとマヨネーズが絡み合い、それなりに美味しくなっている。
ワインと合わせてみよう。
うーむ、微妙だ。
お好み焼きソースの濃厚な甘さにワインが負けてしまっている気がする。
ベリー系のフルーティー感がしぼんで、苦味と渋みが強調されてしまっている。
もうちょっと濃い目で渋み控えめな赤ワイン、シラーかマルベックならいけたかな?
メルローでも少し濃い目のタイプなら良かったかも。
これもまたワインと食事の組み合わせでは起こり得ることだ。
何事も順調に物事が進むわけではないのだ。
☆☆☆
ブドウの芽が膨らみ出し、萌芽(芽吹き)が始まろうとしていた。
どうなっていくのか楽しみな気持ちもあるが、このまま悠長に芽が出るのをただ待っている訳にはいかない。
この時期に「防除」、病害虫の予防の為に農薬の散布をする必要があるのだ。
農薬というと非農家の方々の中には、絶対悪のように嫌悪感を抱くかもしれないが、これが無ければワイン用ブドウはほぼ壊滅状態になる。
特に日本のように温暖で湿潤な気候では致命的だ。
元々ワイン用ブドウは外来種なので、無農薬栽培に適していないのは当然の話だと思う。
もっとも、農薬というのは必要な知識と正しい使用方法であれば、人体や自然環境への影響はそれほど大きくはない。
認可された農薬は、人体や自然環境に対する影響について試験されているし、太陽光や微生物によって分解・消失する性質など、様々な方法で残留しないように作られている。
だが、適正使用量を遥かに超えた濃度や余った農薬を川などに流してはいけない、風の強い日に散布して周辺に撒き散らさないなど、最低限のルールは守らなければならない。
さて、長々と語っていては農薬業者の回し者のように思われるので、これぐらいでやめておこう。
今回使う第一回目の農薬は「石灰硫黄合剤」というもので、殺虫・殺菌の両作用があり、特に果樹の越冬病害虫防除にも高い効果を示す。
有機農法にも使用可能なものだ。
その理由としては、硫黄というのは自然界に存在する物質だから、だそうだ。
有機農法、オーガニックやビオと名のつくものでも、こういった自然界に存在する物質で作られた農薬が使われていることが多い。
そう、有機農法は決して無農薬とは限らないのである。
で、こいつを水に溶かして畑に撒くわけだが、ちょいと特殊な機械を使う。
通称SS、スピードスプレイヤーという農薬散布機があるのだが、こいつは高級車が買えてしまう値段がする代物だ。
とてもではないが買えないので、いつもお世話になっている地元ワイナリーで借りてきた。
「おう、古いやつだけんど、ノズル掃除して使ってけろ」
と、地元の大農家であるワイナリーオーナーから簡単に使い方の説明を受けた。
他にも同じタイプのSSがあり、自分は新しい方でやるからと気前よく貸してくれたのだ。
そして、ノズルの清掃をして水だけ入れて試運転
「……あれ? こことここのノズルから水が出てこないんですけど?」
「んー? おかしいべなぁ? ……おー、中で詰まっとるんかぁ? よし、業者を呼んで見てもらうべ!」
「あ、はい……」
結局、この日は朝から準備をしていたのだができなかった。
次の日に直してもらい、今度こそ本当に準備が整った。
全国的に真夏日になった木曜日の早朝となった。
この日はほぼ無風、雨の心配もない、実に防除に最適な日だったと思う。
薄黄色い霧を撒き散らし、赤いイモ虫のような車体が走る。
コクピットみたいに乗り込み式になっているので、自分に農薬のかかる心配をしなくて良いので安心安全だ。
フロントガラスがすぐ曇ることが難点だが、充分に快適な作業がはかどる。
あっという間に、計画通りに農薬も使い切って撒き終わった。
その後、SSを洗って作業終了だ。
この日は硫黄で温泉臭いので、次の日に畑へ様子を見に行った。
前日が異常に暑かったからか、早い芽の萌芽が始まっていた。
畑全体の20~30%に達すれば、その日が大体の萌芽開始日となる。
そして、本日4月23日、萌芽が開始した。
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