2月第5週/3月第1週 農薬について語ろうと思う

『スラ ヴィンヤーズ シュナンブラン

 2022

 スラ ヴィンヤーズ』


 今回のワインは、なんとインド!

 インド人もびっくり、するかどうかは知らないが、意外にもワイン造りの始まりは古い。


 紀元前四世紀頃にブドウがペルシア商人に持ち込まれたのが始まりと考えられ、その当時は食用やジュースが目的だったようだ。

 その後、16世紀にあのアル中大国イギリスの支配下になったことでワイン造りが奨励されたが、19世紀末に他のヨーロッパ諸国同様、病虫害の影響を受けて衰退していった。

 そして1950年代、インドの多くの州で禁酒運動がおこり、アルコールが禁止された。


 しかし、なんやかんや色々とあって、急速な経済発展により増加した中産階級の人を対象にワインの需要が増していったそうだ。


 で、今回のワインは、スタンフォード大学を卒業後、シリコンバレーで働いていたラジーヴ・サマント氏が故郷のインドで1997年に設立したモノだ。

 生産地ディンドリは、美しい空気とモンスーンによる豊富な雨量、涼しい気候、そして、水はけのよい軽い土地で、非常に上質な葡萄をもたらしてくれるという。


 では、長くなってしまったが開けてみよう。


 レモンイエローぐらいの明るい黄色系、だが再び冬が戻ってきたせいか、寒さのあまり香りが感じにくい。

 ストーブを付けた部屋に少し放置し、温度が上がるのを待ちながら料理を作る。


 さて、再びグラスを傾ける。

 

 リンゴのような果実の香りが感じられる。

 味わいはセミドライと謳っているだけあってやや甘さが口の中に残る。

 これもまた面白い経験だ。


『バターチキンカレー』


 インドらしくカレーにしようと思う。

 インドのカレーといえばバターチキンのイメージが強いが、北インドに位置するパンジャーブ地方の料理なのだそうだ。


 レシピはハウス食品を使おうか。

 とりあえず、スパイスを大量にブレンドしよう。


 https://housefoods.jp/recipe/rcp_00013408.html


 そうしてグツグツと煮込む。

 サフランライスも炊きあがれば完成だ。


 実食。


 レシピ通りに作ってみたら、やや辛みが弱いか?

 レッド・ホット・チリ・ペッパーを振りかける。


 うむ、ちょうど良い電気のような刺激が強くなった。

 だが、玉ねぎを炒めたことで自然な甘さと砂糖の甘さ、トマトの良い感じの酸味も加わったことで味わいに深みが出ている。

 さらにクリーミーな乳製品のまろやかさも良い。


 そして、ワインも良い感じに合う。


 スパイシーなカレーとやや甘いワインは上手く調和する。

 インドカレーとラッシーが合うのと理屈は同じようなものだろう。


 郷土の神の血は郷土の贄と合わせる。

 基本ではあるが、これもまたワインなのである。


☆☆☆


 先週末から再び冬が戻ってきたようだ。

 陽射しはやや暖かく、雪が夜中に降ってもある程度は溶けてしまってそれほど高く積もることはなかった。


 しかし、畑でできる作業は限られる。

 出稼ぎで剪定を行い、用事があれば自分の仕事をする。

 

 酒販免許取得の為に頼んでいた建物登記の件で土地家屋調査士がやっとやってきた。

 酒販免許の取得を急がないといけないので全てを同時にやっていては時間がかかり過ぎると外注したわけだが、これだけ遅いなら自分でやっても良かったとは思う。

 だが、頼んでしまったから今更途中キャンセルもできないし、最後までやってもらおう。


 他にも地元のワインプロジェクトの会合もあった。

 今回も活発な意見交換会であり、それぞれ交流もできたと思う。

 今回は昼間の開催で、懇親会という名の宴会はなくあっさり解散した。


 他に語ることは無いだろうと思ったが、空き時間で今シーズンの農薬をどうしようかと色々と調べていた。

 眠くなるだろうが、農薬について語ろうと思う。


 昨年は元の所有者の使用していた防除暦、農薬の散布計画書で教科書通りに行った。

 しかし回数も多いし、将来的にはできる限り化学農薬には頼らないようにはしたいと考えている。

 そのため、有機農法に対応している農薬に徐々に切り替えていこうと計画した。


 結論だけ先に言おう。

 現段階では、やらない方が得策だ。


 有機農法、オーガニック食品でも農薬を使用している場合がほとんどなのが現実である。

 当然ながら、日本国内で使用できる農薬は有機JASで認証されているモノに限られる。

 認可されている農薬一覧を見ると、ブドウの病気や危険な害虫に全て対応していないのだ。


 殺虫剤も有機農薬にあることはあるが、ハダニ類がほとんどでスカシバやコガネムシなどの厄介な相手には対応していない。

 コガネムシ用の罠はあるが、数多い種類の内1種程度にしか対応していなかったり、そもそもの設計がモニタリング用なので畑が広くなれば実稼働は難しくなるだろう。


 狭い畑や人員が潤沢であれば殺虫剤不使用は可能だろうが、木を喰われる覚悟が必要だろう。


 殺菌剤に至っては、納豆菌の仲間である微生物農薬が灰カビ病に対応しているが、他の微生物農薬はほぼ登録はされていない。

 他の有効な殺菌剤は硫黄製品、後は硫酸銅と消石灰の混合溶液であるボルドー液になる。

 硫酸銅の含有比率の違いでボルドー液の名前が変わるが、基本的には成分は同じである。


 さて、硫酸銅と聞くと恐ろしい物質のようだが、微量であれば人体への危険性はほぼ無いと言われている。

 農薬としての薬効も優れ、一応自然界に存在する物質であることから世界中で有機農法で使用できる農薬と登録されている。

 しかしながら、水棲生物には強毒であるので河川に流入した時は恐ろしいので取り扱いには注意が必要だ。


 農作物病気予防としてボルドー液ほど優れた農薬は僕の知る限りは無いが、多用するのは危険だと僕は思う。

 EUではブドウ畑を始めとする果樹園での土壌の銅濃度の上昇は問題視されている。

 極端な例では足尾銅山鉱毒事件であるが、普通にボルドー液を使う分にはそこまでになることはまず無い。


 無いが、オーガニックとして使える有効な殺菌剤農薬はほぼボルドー液を始めとする銅含有農薬なのである。

 僕は常々疑問に思うことがある。


 オーガニック食品のどこが自然環境と消費者に配慮しているのだろうか?


 それ故に、僕は今年も化学農薬を使用する計画だ。

 化学農薬は、長い時間をかけた実験によって環境や人体負荷、残存期間などが多方面の視点から問題無いと一応実証されているからだ。

 ボルドー液の多用よりは化学農薬の方がまだマシなのだと考える。


 しかし、将来的には化学農薬やボルドー液に代わる何かが一般化してくれればと願う。

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