1月第1週 今年の計画を立てる、そして事務仕事の山となった

『シャリン

 2021

 エミリオ ブルフォン』


 オーナーであるエミリオ ブルフォンは、イタリア・フリウリ州の農業学校を卒業し、何件かフリウリの生産者の元で修行をした後、1964年現ワイナリーのあるヴァレリアーノに引っ越してきた。


 ここまでであれば、実にありふれた経歴で何の代わり映えもせず、数多あるワイン生産者の中に埋もれていたことだろう。

 

 しかし1970年代、古い土着品種が絶滅に瀕していることを知り、その品種の研究と復興活動に尽くしたという。

 今ではその活動が認められ「イタリアの葡萄栽培界に大きな貢献をした」として「カングランデ・デッラ・スカーラ」という偉大な賞を獲得した。


 今回の品種シャリンもまた15世紀より存在が確認されていたが、近年存在の忘れ去られていた土着品種である。

 現在は、このワイナリーの位置するピンザーノ アル タリアメントとカステルノーヴォ デル フリウリのエリアだけで栽培が許されている。


 では、長くなったが開けてみよう。


 グラスからはどこか花のような香りが漂う。

 花の種類がわからない無粋者なので、目を閉じて色をイメージすると黄色が浮かんでくる。

 味わいは柑橘系のスッキリさのある酸味があるが、どこかパパイヤのような個性があって面白い。


『七草粥』


 奇しくも本日は1月7日、人日の節句(毎年1月7日)の朝に食べられている日本の行事食(料理)の七草粥の日である。

 春の七草や餅などを具材とする塩味の粥で、その一年の無病息災を願って1月7日に食べられる。

 が、今回はエッセイの執筆上の都合の為、昼に食べるとする。


 本来は、正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休める為という意味もあるらしいが、人間はいつかは勝手に死ぬ。

 今を駆け抜ける方が大事だと思う。


 というわけで、今回は手抜きというわけではなく、時短でレトルト

にすることにした。


 我が家には電子レンジというものはないので、湯煎でパウチを温める。

 温まった粥を丼に開け、それからフリーズドライの七草を混ぜれば完成だ。


 早速食べる。


 うむ。

 サラッとして食べた気がしない。

 水のようにスルッと喉を通り越していく。

 胃には優しいのだが、エネルギーとしては全く足りない。


 ワインとも合わせてみる。


 ふむ……これは!


 全く、何の影響もない。

 粥ではまさに水のように何も足さない、何も引かない、存在感がゼロなのだ。

 

 せいぜいが、口内をフレッシュに洗浄してくれる。 

 ワインを味わうためにはちょうど良いかもしれないが。


 さて、本日はこちらの冬らしく、天気が悪いので昼間から飲んでもどこにもいけないのでちょうど良い。

 これから今週について書いていこうと思う。 


☆☆☆


 新年あけましておめでとうございます。


 と、年越しとなったのでワイン関係で今年にやるべきことを早速整理しようと思う。

 

1.去年開拓した畑に苗木を植える。


 これは去年どころか一昨年から計画を始めているほどの大事業である。

 去年は開拓し、ブドウ棚の設置までは終えることができた。

 しかし、まだまだやることはある。


 ブドウ棚を立ててみると、畑内の土が多すぎるところと少なすぎるところがあるのだ。

 多少のことであれば気にしないところだが、今後の作業で問題になるのでやれる時にやらないといけない。

 とりあえず、四月下旬に苗木の植え付けを予定しているので、その時までにやれれば良いだろう。


 天気の良い日だけだが、1月2日から地道に作業を開始した。

 まだまだ終わることはない。


2.新しい畑の造成をする。


 この畑は開拓した畑と地続きなので、すでに頭の中である程度シミュレーションはできている。

 去年よりも面積は少ないし、大体のやり方は分かったので多少はスムーズに作業はできると思う。


 しかし、去年伐採した巨木たちがこのエリアに散らかった状態なので、その整理からやらないといけないだろう。

 

 工事範囲は大体計測済なので、事業の手続きを進めていくために書類仕事をしないといけない。

 予算書を作るために、各業者に見積もりを依頼した。


 後、来年用に苗木も予約しないと。

 新年早々来年の話など鬼が笑うだろうが、苗木はすぐに手に入る物ではないので、早くからやっていかないといけないのだ。


3.すでに植わっている畑のワインを造ろう。


 去年は醸造時期にブドウ棚を造らないといけなかったので、ブドウを売るだけで終わってしまった。

 今年こそは自分でワインにしたいと思っている。

 

 だが、造る場所を探さないといけないのでどこか近くのワイナリーでやれるところを探さないと。

 下手なところに頼むと自分の求める品質とかけ離れたモノになってしまうからだ。

 どこも生産規模が限られるので、なかなか難しい話だ。


4.酒販免許を取ろう。


 例え自分でワインを造ったとしても、販売するためには税務署で免許を取らないといけない。

 これが煩雑で種類も多くあるので、大量の書類仕事となる。

 まずは、E-TAXができるようにカードリーダーを買わねば。

 話はそれからだ。


5.その他書類仕事、確定申告


 1月中にやらないといけない書類仕事が大量にあったりする。

 2月からは確定申告、開業届が3月以降だったので、今回は白色申告になるが、それでも楽ではない。


6.資金調達のためにクラウドファンディングをやる。


 この世は所詮、金があれば大概のことはどうにかなる。

 裏返せば、金が無ければ壮大な理想もただの妄想と何も変わらない。


 苗木を植えたところで、実が付き収穫されるまでに最低でも3年はかかる。

 それまでは、ただ支出だけしか無いでどうにも運転資金が無くなっていく。


 これは死活問題なので、元日に初詣で豊穣祈願をしてからすぐにプロジェクトを書き始めた。

 そんな時に大地震である。


 今クラウドファンディングをやっても、あっちの募金活動に埋もれてしまう。

 どのタイミングでスタートするか迷いどころである。

 プロジェクト自体はすでに書き終わっているのだが……


 以上、ざっくりと思いつくだけでもこれだけある。

 この冬の農閑期も、畑仕事がなくとも内勤が腐る程あるのだ。


 新年だからとそれ程のんびりしていられない。

 今年はすでに去年以上の多忙さが予想されている。


 今年の生存競争はすでに始まっているのだ。

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