概要
荒野の果ての大樹が潰える時、新たな守り人が記憶を紡ぐ
大荒野の果てに悠久の時を紡ぐ古い森があった。人から忘れ去られたこの古森には大地の精霊達の祝福を受けたひときわ大きな古木が存在したが、この大樹はじき終わりの時を迎えようとしていた。
古森の守り人であるヨナスはその事を夢占で知る。夢占では大樹の崩落を見届けるヨナスの傍らに、彼の知らぬ若い人影が寄り添い立っていた。ヨナスはおのれの見た夢が森の終焉と再生をあらわしているものと信じ、新たな森の守り人となる者を探すべく自らの分霊を旅へと送り出した。
古森の守り人であるヨナスはその事を夢占で知る。夢占では大樹の崩落を見届けるヨナスの傍らに、彼の知らぬ若い人影が寄り添い立っていた。ヨナスはおのれの見た夢が森の終焉と再生をあらわしているものと信じ、新たな森の守り人となる者を探すべく自らの分霊を旅へと送り出した。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!枯れゆく世界の記憶と希望
読み通すのが重い。でもそれだけの価値がある作品です。
物語を覆い尽くすのは、乾いた土と砂、理不尽な生、諦め、生きたいと足掻く心とそれとは相容れない死への畏れ。そして、瑞々しく濃い蔭を落としていた木の記憶。
主軸になるのは、影祓いと呼ばれる葬祭職能集団に属する少年と、砂漠で死にかけたところを彼のいる「塚」に保護された少女です。
彼らの生活ぶりの描写はとても細やか。それにより、緩慢に終わりに向かう厳しい世界はそれなりの愛に満ちたものであることが示されます。
だけど淡々と綴られていく人々の暮らしにあるものは、影祓いの行う葬祭儀礼、娼館、奴隷売買。そして運命に抗う術のない、たくさんの死。ゆえに軽…続きを読む - ★★★ Excellent!!!重厚で神秘的で人間たちのやるせなさを感じる洋書みたいなファンタジー
翻訳小説みたいな神秘性を重視した物語です。バトル展開もありますが、それは数値による戦いではなくて、祝詞の正当性や術者の精神力による競い合いの要素が強いです。
なんて堅苦しい言い方をするとライト層が拒絶しそうですが、ざっくりいえばハイファンタジー版もののけ姫です。
大自然と守り神と呪術を基礎として、そこに中世の武器が関わってくるのは、東洋の隔てなく本来の意味でのファンタジーでしょうし。
(あくまでもののけ姫を出したのは、わかりやすさ重視のたとえであって、この物語はアクション要素が薄いです)
物語の始まりが娼館なだけあって、どうしても物語全体がダークな雰囲気になりがちですが、本来…続きを読む