第42話「自分と向き合うと言うこと」
Side ディノ・ゼラヴィア
=昼・学園内にて=
学園内に警報が鳴り響く。
報告によれば大型を中心としたディセントの群れが近づいてきているらしい。
立場上、自分は戦闘にはおいそれと出れないのでここは綺羅やクリス、リョーマ達に任せるしかない。
僕は急ぎ、アロンズダイトに戻った。
もしかすると自分の出番もあるかもしれないが、それは余程の時のためだ。
出来うる限りは学園の意思を尊重して出撃を控えるのがディノの方針である。
Side チャン・インリン
=学園より遠方、管轄区域上空=
戦いの最中思う。
セイジは変わった。
オリヴィアも、ティファニーも、みな同じことを言っていた。
何時の間にかそんなセイジに私は惚れ直していた。
だがそう思えばそう思うほどに過去の自分達の醜さを目の当たりにするようで辛くなってしまう。
本当に私でいいのだろうか?
そもそも今のセイジは私達の事をどう思っているのだろうか?
それが怖くもある。
(今はセイジの事じゃなくて戦いに集中しないと――)
気持ちを切り替える。
今は戦いに集中しないといけない。
最近はディセントと行動を共にする謎の黒いエクスアーマーに翻弄されっぱなしだ。
自分の気持ちが万全ではないのもあるが、それを抜きにしても黒いエクスアーマーの少女は強い。
今回はいないみたいだが、突然現れやしないかと不安に思う。
以前の自分なら綺羅 セイジにいいところを見せたくて足の引っ張り合いをしてでも倒そうとしただろう。
だが今の綺羅 セイジはそう言うのを極度に嫌う。
最近ではクリスやリョーマなどの同性と打ち解けていて、悔しい思いもしたがこれは言ってしまえば自分の身から出た錆だ。
だけどどう向きあって行けば良いのか分からない。
オリヴィア達もそんな感じである。
☆
Side 綺羅 セイジ
女性陣の事が心配ではあるが今は戦いに集中しないと。
皆自分達の心と、昔の自分と向き合っているんだと思う。
それはいい事ではあるのだが、自分自身も遠からずウチに決断を迫られると言う事だ。
地球の殆どの国、ましてや日本はゼラヴィア帝国みたいに一夫多妻制ではない。
極論すると誰か一人を選べと言う事なのだろうが――正直誰を選べばいいのか分からない。
こんなテキトーな気持ちで選ばれても相手は嬉しくはないだろう。
それ以前に人として最低だとも思う。
今はそれよりも戦闘だ。
相変わらず物量による突撃戦法。
今回は黒いエクスアーマーの少女はいない。
問題は彼女達のメンタリティだがそこは自分達でサポートするしかない。
その件についてはクリスやリョウマ、ユンにも頭を下げた。
上手く言葉に出来て通じたかも知れないがちゃんと耳を傾けてくれた。
それだけでも正直ありがたかった。
アイナ、オリヴィア、インリン、ティファ、ナージャ、ネーナ、皆戦っている。
自分の心と。
それを支えるのが今の僕に出来る全力であり、そして愛坂 ヒデトに今を託された自分に出来る事の一つだと考えている。
姉さんの事も含めて――
☆
=学園、格納庫=
戦いは終わったが、課題は山積みだった。
連携は前々からだが女性陣の動きがどうしてもギコちない。
これは一度面談した方が良いかもしれないと思った。
(やっぱり――自分が動かないといけない)
そうしなければあの墓前での誓いは嘘になってしまう。
その誓いを破りたくはない。
だから実行に移す事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます