第16話「疑念」

 Side ユン・シェンハ


 学園内は昨日に引き続き、夜になっても騒がしい。


 学園長や綺羅 ユキナ先生もパニックを収めるために奔走している。


 記者などの部外者が入り込んで騒がしいのもそうだが、戦争勃発するんじゃないのかどうとかで皆、眠れぬ夜を過ごしているらしい。


 ディノ様は壇上ではああ言ってくれたが皆はそう思っておらず、裏で全面戦争の準備を着々と進めていると思っているらしい。


 これをバカバカしいと思えるのは私がゼラヴィア帝国サイドだからだろう。

 もしも地球人でこのアークの学生なら同じく不安で眠れぬ夜を過ごしていた筈だ。


 しかし、あの司令官といい記者と言い、地球人が愚かだからと言う理由で引き起こされた物だろうか?


 例えば銀河連邦とかが関係しているかもしれない。


 一度深く調査をした方が良いのかもしれないだろう。



 Side ディノ・ゼラヴィア


 艦内の私室でユンからの仮説を聞いてディノは頭を巡らせる。


(バックに銀河連邦か……)


 銀河連邦。

 よくも悪くも中立的な組織だが裏の顔はどうだか分からない。 

 地球に何かしらの理由で軍事援助を密かに行っていたとしても不思議ではない。

 

 しかし宇宙は広い。

 銀河連邦だけでなく、他にも容疑者は存在する。

 

 と言うのも宇宙人のテクノロジーを得たとして、どうしてエクスアーマーのようなパワードスーツ兵器になったと言う疑問が残るからだ。


(銀河連邦が支援があったと言うのならば人型機動兵器でなければ不自然だ)


 ならば必然的にパワードスーツ主体の軍事技術で地球に行き来できる超テクノロジーを持った勢力でなければならない。


 そんな星が存在するのか?


(いや、この世界じゃなくて――並行世界とか異次元とかならあるいは――まさか未来からエクスアーマーの技術を――それだとタイムパラドクスが……ダメだな。判断材料が少なすぎる)


 並行世界の地球からス〇ロボのシャド〇ミラーみたいな組織が暗躍している可能性とか未来の地球からの軍事技術の受け取りなどとかも考えてみたが、判断材料が少ない今の現状だと中学生の妄想の域にすぎない。


 とりあえず思考を現状の事に切り替える。


(現状はある意味最悪と言っていい。あの司令官の強気な態度が気に掛かる。何かしらの地球外勢力のバックアップがあると考えた方が自然か――)


 実は闘将ダイモ〇の三〇 防人長官みたいに頭がイ〇れている可能性もあるにはあるが、そう考えた方が自然なようにも思える。


 あの記者はまあ――地球で過ごしていた頃、ああ言う手合いの記者は珍しくもなんともないので単なる暴走の可能性が高いが。


(問題は何時からだ? ステルス艦で密かに地球にワープアウトして自分達の目を盗んで軍事支援を行っている――よりも自分達が太陽系に来る前に地球に接触して潜伏していると考えた方が自然か)


 もっとも、これも証拠がない以上は机上の空論であるが、万が一そうだとして、その相手がスパロ〇のゼ〇ーナンみたいな奴だったら最悪である。


 ともかく第3者、第4者の存在に関して気をつけた方がいいだろう。

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