第43話「襲来」

 Side ディノ・ゼラヴィア 皇子


【旗艦アロンズダイト・ディノの私室】


 どうやら綺羅 セイジは独自に動いて改善に向かって歩んでいるようだ。

 本当に昔の彼とは別人のように思える。

 

 クリスも出来うるトレーニングを一生懸命しているみたいだし、学園側も問題点を改善するために動いて概ねいい傾向だ。


 問題はディセントと行動を共にする謎の黒いエクスアーマーの少女だ。


 そもそもにしてディセントとは何なのか?

 

 異空間に繋がるホールを形成し、そこから拠点を構築し、人類に対して破壊活動をするぐらいしか分かっていない。


 そもそもどうして地球になのだろうか。


 他の惑星でも見掛けてもいいように思えるが。


 答えの謎はホールの先にあるだろうが現状賭けの要素が強すぎる。


 それにこれは地球サイドの人々がやって貰わねばならない。

 自分はゼラヴィア帝国の皇子。

 もしも自分が突入して帰って来なければ地球存亡の危機である。

 

 もう自分はゼラヴィア帝国の人間だが地球が滅びても良いとは考えてはいない。

 

(マキナ機関を探ってみるか?)


 マキナ機関。

 表向きはエクスアーマーの研究機関だが裏では相当あくどい事をしている研究機関だ。

 ディセントの研究、軍事利用の視野も考えているらしい。


 政治外交の都合とか抜きにしても探りを入れるのは危険だが謎の黒いエクスアーマーの少女の正体に僅かながら心当たりがあるかもしれない。


 工作員を使って探りを入れるべきかと悩む。


 そんな時に警報が鳴り響いた。



【旗艦アロンズダイト・ブリッジ】


 ディセントの襲来。

 数が多いがそれよりも驚いたのは黒いエクスアーマーの少女が現れた事だ。

 

 どんな手札を持っているか分からないため、警戒態勢を厳にする。


 最悪、量産型特機級のグレイオスや自分専用機のゼランクルードの投入なども考えている。


 油断していい相手ではないだろう。



 Side 綺羅 セイジ


 黒いエクスアーマーの少女と激突している。

 この少女はまるで戦いと言う行為を楽しんでいるように見える。

 仲間達の様子が気になるがそれどころではなかった。


 一瞬でも気を抜けばやらそうな。

 それ程までにこの少女はヤバい。


『へえ~強くなったんだねお兄ちゃん』


『おかげさまでな!!』


 この黒いエクスアーマーの少女は僕をお兄ちゃんと呼んでくる。

 特に深い意味はないだろう。


『君は一体何なんだ!? 何のためにこんな事をしている!?』


『戦いたいから戦う。ただそれだけよ』


『そんな事のために――』

  

『別にいいじゃない。戦う理由がなんだって。もっと遊ぼうよ、お兄ちゃん!!』


『くっ!!』


 白兵戦を行いながら黒いエクスアーマーに言葉をぶつけるが、返ってくる言葉はこの状況を楽しんでいるかのような言葉ばかりだ。


 色々と説は挙げられてはいるだろうが一体何者なんだろうかと思う。


『さてと、そろそろ新しい玩具を披露しなくっちゃね』


『新しい玩具?』


 そう言うと次々と大型の機械のパーツが黒いエクスアーマーの少女の近くに飛んできて――エクスアーマーのコンセプトから逸脱した大型の武器の塊、移動要塞、空飛ぶ武器庫のような状態になってしまった。

 

『本気で殺しに行くから死なないでね? お兄ちゃん?』


 怪しい笑みを浮かべて黒いエクスアーマーの少女は言う。 


 

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学園でいじめられていた自分が宇宙帝国の皇子に転生して地球の通っていた学園に戻るお話 MrR @mrr

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